日立の研究開発説明会〜社会イノベーション事業を牽引するグローバルR&D

 

恒例の、また、毎年楽しみにしている日立の研究開発インフォメーションミーティングが、昨年と同じ62814:0018:30、横浜研究所(昨年は中央研究所)で開催された。横浜研究所には、オープンラボがあり、ユーザーと共創できる施設があるようだ。プレゼンは、CTOの鈴木氏、インサイトラボのDayal氏、テクノロジーイノベーション統括本部長の青木氏、知財の戸田氏。知財の話題は一昨年以来。日立のR&D体制は3層構造であり、顧客と協創のCSIから北米のインサイトラボでITより、CTIのトップが材料より、と上手く選択されている。プレゼンが14時〜15時、質疑15時〜1540分で、質問もした。その後、展示会、懇親会だが、大変残念ながら、理科大の講義の関係で、展示会をざっと見て、失礼した。

 

R&D体制は協創、グローバル・オープンイノベーションを強化

 

 日立のR&Dは、2015年に、いわば、本体を先導する形で、3層構造に大改革となったが、2年を経て、だいぶ浸透してきたようだ。また、先日のIRデーとも連動し、R&Dのミッションは、社会イノベーションを興す注力4分野に関連する主力製品・サービス、Lumadaへのユースケースの貢献であると明確でわかりやすい。過去の日立の歴史の中でも、これまでになく、全社事業戦略とR&Dが同期している印象。

 

AIIOTの研究は売上よりもコスト削減

 

AIIOTに関しては、こうした研究が、事業効率をあげ、有用であることは理解するが、それゆえに、売上拡大よりも、コスト削減になる。これでは、事業や経済が逆スパイラルで縮小するだけになり、人間から仕事を奪うだけだが、まだ、その有効な方策はなく、未来投資で考えて居るようだ。

 

R&D費とイノベーションに対するリスクの取り方の哲学

 

 全社のR&D費は2016年度3238億円から2017年度3500億円で売上比4%、このうち20%700億円がコーポレートのR&Dであり(これが2700人、一人当たり2500万円)注力4分野の比率が2016年度63%から2017年度76%へ、デジタルソリューション比率が同順に24%から68%へフォーカスされている。

 

インサイトラボの役割

 

 Dayal氏のプレゼンは、日立が強い注力4事業のOTAIの掛け算から、如何に、Lumadaのユースケースを増やすかについて、実例を踏まえ、AIや予測、最適化、画像認識などのアナリテクス技術が共通に使え、発展することが理解できた。

 

材料技術が牽引するモノづくりコトづくり革新

 

 青木氏の今回のプレゼンは、これまでに無かったもので面白かった。材料技術やモノ作りは、伝統的に日立が強い領域だが、これまでは、バリューチェーンの中で、設計から生産くらいに材料技術の成果を結びつけていなかったのが、企画から保守や廃棄までのフローで考えるというものだ。

 

知財活動が重要

 

 戸田氏の知財がゲームチェンジを促進、知財でエコシステムを構築という主張は全く同感だ。これまでと異なり、知財戦略も、3層のフロント・CSI、プラットフォーム・CTI、プロダクト・CERでは、全く異なり、それぞれ組織を分け、同順に、社会イノベーション知財部、知財プラットフォーム部、知財マネージメント本部となっているのは、他社に例を見ないユニークなものである。

 

展示はこれまでと一新

 

 オープンラボでの展示は初めてであり、昨年までの、特設ではなく、常設であることもあり、非常に工夫されている。1Fから6Fまであり、展示は1F2Fだが、かなり広く、実際の工作機械などがあり、ユーザーが実際に実験できるようだ。