アルプス電気が7月27日引け後に40.43%保有のアルパインを株式交換により完全子会社化することを発表した。株式交換比率は、アルパイン1株に対し、アルプス電気0.68株、7月27日終値のアルパイン1710円、アルプス電気3250円から計算すると、アルパイン2210円となり、29%プレミアム付与。アルプス電気株式は12%強希薄化。2019年4月1日付で持ち株会社のアルプスHDの傘下に100%子会社のアルプス電気とアルパイン、46.6%保有のアルプス物流がぶら下がる形となる。アルパインは株式交換効力発生日(19年1月1日)に先立つ2018年12月26日に上場廃止予定だが、アルプス物流の上場は維持。
カーエレ市場の再編統合
今回のアルプス電気とアルパインの経営統合の背景として、スマホ市場鈍化と、ADASなどクルマの大きな進化の中で、アルプス電気は、アルパインのソフトや車載情報技術を取り込み、クルマ向けシフト成長加速、また、アルパインはアルプスの電子部品の技術が必要であり、自然である。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27HM4_X20C17A7000000/
経営重心的にも、アルプス電気がよりスマホからクルマにシフトする中で、ドメインが完全に重なり、垂直統合になる。
業界構造変化としては、サムスンの米ハーマン買収80億$、インテルのモバイルアイ買収1.7兆円、QコムのNXP買収5兆円など、デンソーの富士通テン連結子会社化、日清紡がJRCを完全統合など再編・メガ化が進む。
アルパインは、時価総額で1000億円前後、ROEは低いがキャッシュリッチで、中国ニューソフト社等もおり、バリエーション上、割安傾向にあるアルパインは恰好の対象になる警戒もあっただろう。小さくても存在感のある会社として、独立志向を維持しようとしても限界はあろう。
アルパインは、アルプス電気とモトローラのJVとして誕生して創業50周年、米谷氏はアルプス電気から2015年にアルパイン専務、2016年に社長就任であり丁度1年。社長がコメントしているように、これまでの50年より、これからの50年の変化が大きく、クルマ単体からクルマがネットワーク化されていくなかで、一つの潮時だったのだろう。
アルパインの決算説明会と祝50周年と次の50周年のクルマの未来2017年 5月 03日 水 続きを読む
長年の捻じれ解消
アルプス電気のアルパイン統合は、ADASなどクルマの進展だけではなく、多くのメリットがある。それは、資金の有効活用であろう。