スタートアップ・バブルと時価総額経営

 

理科大MOTでアントレプレナーシップや新事業開発論の講義を担当したこともあり、この半年間は、スタートアップについて、調査分析している。

 

これまで、シリコンバレーや、日本においても、何度もハイテク・ベンチャーブームはあったし、2000年前後のITバブル、ネットバブルは、まだ記憶に新しいところだ。

スタートアップ、ベンチャー、新興、中小企業、中堅企業、似たような言葉があり、定義も一律ではない。スタートアップには、起業という意味もあるが、驚くようなイノベーションを始める企業というイメージが強く、単なる中小中堅企業よりは、社会への影響度や成長率、加速度が極めて大きい場合を指すようだ。

 

 

IT系スタートアップの共通点

 

そして、最近は、「スタートアップ」という場合、科学技術的なイノベーションというよりは、スマホ等をベースに、ネットワーク外部性の影響で、急成長している企業を指すようだ。まさに、かつてのグーグル、Amazon、ウーバー、である。

 

そして、これらの企業は、若い超一流大学を中退した若者が仲間と起業、赤字だが売上急成長、苦難を乗り越え、IPOというような共通のストーリーがある。起業からIPOまでに至る話を見聞きすると、まるで、ワクワクするハリウッド映画やアドベンチャーゲームのようだ。あまりにワン・パターンなので、気になっていたところ、「スタートアップ・バブル」(ダンライオンズ著、長澤あかね訳、講談社)をよんで、納得した。これは、実際にIT系スタートアップに就職した中年ジャーナリストのノンフィクションであり、どこまでは本当か不明だが、リアリティに驚く。

 

若きCEOが主演男優、演出がVC、大衆個人投資向けの映画作り

 

 すなわち、スタートアップとは、それ自体が、「金融商品」であり、「若き起業家CEOが、主演男優であり、演出がVC、多くの大衆投資家を相手の、映画・ショー」でもある、というのである。