東芝メモリは、ベイン連合を選択したが、マスコミ向け報道を見た限りでは、不明な点が多く、WD提訴問題、独禁法問題だけでなく、臨時株主総会に向けても、問題点が多そうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO21968670W7A001C1000000/
ベインキャピタル(以下ベイン)の報道資料によると、ベインから2120億円、SKハイニクスから3950億円(CB1290億円)がベインキャピタルSPC(以下、SPC)になり6070億円、東芝から3505億円、HOYAから270億円、銀行融資6000億円、アップル、デル、シーゲート、キングストンの米系4社が社債型優先株4155億円で、合計2兆円となっている。
複雑で不明点が多いスキーム
SPCは、ベインが100%議決権であり、SKハイニクスは当初は議決権なし出資とCBによる出資であり、10年間はSKハイニクス分の議決権は15%以下。また、米系4社は、社債型優先株というが、4社の比率や優先度合が不明。
B/Sが見えない
東芝メモリ社のB/Sは、現状では、自己資本比率がかなり高く、有利子負債や買入債務、年金債務などが不明だが、このストラクチャ後、どうなるか、明らかではない。
上場はなぜ3年後か
上場を目指すのは当然だろうが、3年後というのが引っかかる
ユーザーから見た出資
そうした業界構造変化の中で、あまり出ていない論点が、ユーザーからの見方だろう。
メモリは成長
東芝メモリに、INCJ等が出資するかどうかについては、メモリ外出し後では、明らかに救済ではなく、成長投資だということだ。中国ICファンド10兆円には及ばない点は課題だが、東芝のメモリ部門は、DRAM時代も含め、過去30年、サムスンという競合・強豪がある中で、しかも、カネがない規制が多いなどハンディがある中で、トップ3を維持してきたのは称賛に値しよう。