経営重心分析体系

 

2012年にMOT学会で経営重心について発表、その後、日経新聞その他でも考え方が紹介され、2015年には著書も出し、Amazonでも業界では、数か月1位、全体でも上位など、業界では大きな反響があり、日経新聞の書評でも紹介された。その後の進展も含め、2016年には、News Picksにも5回連続で、寄稿、この10月には、英語版もキンドル版で出し、経営科学分野の新著では、1か月弱1位を維持、発表直後はビジネス書で一桁のランクだった。この間も、多数の講演やプレゼンで、かなり浸透したかと思っていたが、かならず、そうでも無いようであり、理論の深堀・普遍化と実証だけでなく、普及にも努力しなければならない。

 

 経営重心の考え方は、広範な内容を含んでおり、いわば、体系であり、なかなか短い時間で全てを語り尽くすことができないが、大きく5つの内容から成り立っている。第一は、固有周期であり、企業には事業への適応の結果、決まった時定数(固有周期)があり、いわば企業のスピードを表現できること、第二は、同様に固有桁数、決まったボリュームがあること、第三は、この周期と桁数で、経営重心が定義され、事業ドメインが表現できること、第四に、このドメインを使うと、国際競争や垂直統合・水平分業などの業界構造変化が、明白になり、企業のポートフォリオや多角化を考える上で優れた分析ツールになること、第五に、周期と固有桁数から定義される企業のドメインの広さが計算でき、これも多角化やポートフォリオ、ガバナンス設計に参考になること、である。

 

 多くのプレゼンや討論を通して、感じたことは、それぞれ、理解され易さなど反応が異なることだ。固有周期は、業界、学会、マスコミを問わず、特に理系中心に、多くの方に賛同され評価されていると思う。固有桁数は、ある意味、桁数を除けば、それほどユニークでなく、納得はされるが、そこそこの程度だろう。第三のドメインの表現と第四の国際競争分析、産業構造分析は、特に、日本が強い領域をジャパンストライクゾーンと命名したが、業界、学会、マスコミなどに理文を問わず、受入れ、TVでも紹介されている。今回の早稲田ELFでも大いに関心を持たれたようだ。これに対し、第五のドメイン広さについては、横軸に周期をとり、縦軸に桁数を取り、そこで面積を求める、という点が、文系の学者や業界関係者には、やや分かりにくいようだ。実は、縦軸に売上でも単価でもなく、個数台数の桁数を取るというのは、テクニック上、重要であり、本質的でもあるのだが、ここまで理解頂き評価されるには、理系のリテラシーが必須であり、そこまで至らない場合が多いようだ。今後の戦略としては、分かり易い要素から、中心に分割して、論文化、検証やケースを増やすことも必要だろう。

 

(参考)

 

http://www.js-mot.org/doc/schedule20120317.pdf

 

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD030E6_T00C12A7TY6000/?df=2

 

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20121129/253551/?P=2&rt=nocnt

 

https://www.amazon.co.jp/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E9%87%8D%E5%BF%83-%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%80%85%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E8%8B%A5%E6%9E%97-%E7%A7%80%E6%A8%B9/dp/4344971302/ref=zg_bs_505286_16?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=KEZJB9SBHR7AQGNNMTA1

 

http://www.jaba.jp/resources/c_media/themes/theme_0/pdf/JBM_RP85-E88-2014_F_54.pdf

 

https://newspicks.com/news/1812618/

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO02651420T20C16A5000000/

 

http://jcst.in.coocan.jp/Kaishi/157.pdf

 

http://www.js-mot.org/doc/2017-7th_seminar.pdf

 

https://www.circle-cross.com/最新ニュース20174月より-東京理科大教授としての活動/

https://www.elforum.org/event.shtml