経営重心によるポートフォリオパターン化

 

 経営重心分析のそもそもの目的は、事業領域や経営スピード等の定量化や、ドメイン図示化でポートフォリオの是非、特にM&Aや新規部門の多角化を客観的に議論することにあった。日本語の曖昧な「事業ドメインが広すぎる」といったイメージだけでなく、広さを、定量的客観的に議論し、広さが5以上だと、かなり広すぎ、ガバナンスをしっかりしてポートフォリオを監視する必要があり、3以下であれば、トップが全体を見渡せ、日本的な経営で十分にやっていける、などが示せた。

 

 また、ポートフォリオを新しいドメインの切り口で提示することで、国際競争力優位を議論でき、事業や経営重心がジャパンストライクゾーンにある場合は、日本が優位性を維持できることも分かった。

 

経営重心ポートフォリオのパターン化による経営の予見性

 

 ここ数年におきた各社のカーブアウトや、多角化動向をみると、経営重心により、幾つかのパターン化ができ、その是非を予測できる可能性がある。すなわち、日本企業が上手く行っているポートフォリオのパターンは、三菱電機やファナック、オムロン、キーエンスなど、ジャパンストライクゾーンの領域に事業群が存在しているものだ。逆に、東芝に代表される2コアは、ガバナンスが効きにくく、トップのスパンオブコントロール外となり、カーブアウトした方がよい。

 

 そこで、経営重心理論により、ポートフォリオのパターンを8種類に分けた。2コアで、3種類、1コアで5種類だ。