2018年2月14日午前、日経新聞などで報道されていた通り、車谷氏が東芝の会長就任と発表、午前11時半にIRからメールで13時半にトップ就任に関する緊急説明会開催の通知、数日前に通知があった同日夕方の決算説明会は参加できたが、トップ就任の説明会(マスコミ・アナリスト投資家の合同)は、急すぎて参加できず、後で視聴したので報告する。http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/opr20180214.htm
同日、午後にTV東京から、大学の広報を通して、コメント録画取りの打診があり、TV担当記者からの電話取材の上で、決算説明会から戻った19時から研究室で取材・録画取り30分程度だったが、12時のWBSでのTV放映は数分だったので、放映されなかったコメントも含め、また、報道プロセスについて、やや違和感もあるので、述べたい。
今回の件は、既に2月11日、日経新聞で報じられている。これまでの報道経緯から、役員関係者か、メインバンクからリークされたのだろう。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26797280R10C18A2MM8000/
昨年から車谷氏の布石
また、昨年11月29日には、ファンドに関する記事で、CVCが車谷氏などの大物を招聘した背景について報じられている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO23988470Y7A121C1EE9000/
このタイミングの関心事と条件は
長引く激務、社内外の対応に、綱川氏は疲弊もしており、執行サイドで、綱川氏と二人三脚で行動できる人材招聘は急務だったろう。また、昨年12月というタイミングでは、東芝トップの関心事は、ファイナンスで登場した新たなモノ言う株主対策や、メモリ社に関して、ベイン社対策だったろう。
説明会での綱川社長、池田指名委員長、車谷氏の挨拶説明のポイント
マスコミ・投資家アナリスト合同の説明会では、綱川社長の挨拶の後、指名委員長の池田氏の説明、車谷氏の挨拶・抱負の後、質疑だったが、大多数がマスコミであった。
質疑応答のポイントは選抜プロセス、ポートフォリオ、ガバナンス等
質疑は、会長と社長の役割分担、選抜プロセス、また、メインバンクの意向や関係、これまでの実績とどういう貢献ができるか、メモリや原発なども含め、事業ポートフォリオの考え方、ガバナンス、など。
分析~価値意識も共感、東芝認識も一致できるトップ
車谷氏の数日で即断、言葉の中の「天命」、「男子の本懐」、「厳しい中でしか人は育たない、そこでしか未来は見えない」等は、全く同感であり、人柄や性格は共感できるし、綱川氏との相性もいいだろう。
また、氏の課題認識として、①資本、②ポートフォリオ、③ガバナンス、等は、小生が、昨年11月17日の日経新聞経済教室に書いた通りであり、メモリ社切り離し、原発リスクの認識も、全く同感である。
ガバナンスについて指摘する有識者は多いが、東芝の本質的な課題で、ポートフォリオを挙げ、財務基盤が一段落した今も、メモリ切り出しを主張する方はそれほど多くないが、車谷氏の認識は、数少ない共有できる一人だろう。その意味では、安心だ。
車谷氏は資本家型トップ、綱川氏は象徴調整、欠けているのは、横グシとオーガニック成長のCTO
小生のトップの再定義によれば、これまでの東芝は、綱川氏が、象徴型・調整型、志賀氏や成毛氏など各セグメントのトップが事業型であり、ポートフォリオが広いわりに、資本家型が欠けていた。
歴代社長も、儲かった事業からの出身者が多く、どうしても、事業家型社長が多く、全体のポートフォリオをバランスよく客観的に見るトップが不在であり、歪なポートフォリオとなった。また、事業家型社長が多いと、どうしても縦ラインが強くなり、横グシが弱く、各セグメントのシナジーも薄く、相互に無関心となり、ガバナンスが弱くなりがちであった。
その意味では、車谷氏は、まさに、これまで欠けていた資本家型社長であり、最適だろう。ポートフォリオを客観的に見るには、他社との比較や、外部目線も必要で、ファンドや機関投資家等との会話を通じ、それがフィードバックされよう。
あと、欠けているのは、オーガニック成長を促し、横グシを強化できるCTOの存在であろう。現執行サイドの上層部にも、役員会でも、CTOや、技術系が少なく、課題だろう。
車谷氏のアッピール報道
東芝へのスタンスと期待
IR姿勢は、セグメント詳細やメモリ社のB/S開示など高く評価される。業績も、新生東芝は、一時的リストラ費用がなければ、OP800億円以上であり、中期で1000億円は可能だ。