三菱電機のR&D説明会(2月15日開催)とトップ交替発表(2月21日)

 

2159時半より、本社でのマスコミと投資家アナリスト合同の説明展示会に参加。昨年は、東京国際フォーラムで、525日午後であった。今回は、35回目という。過去は、鎌倉や尼崎の現地であったこともある。出席者は、昨年同様、柵山社長、開発本部長の藤田常務、松山専務。柵山社長より挨拶の後、藤田常務よりプレゼンが30分強、質疑、その後、自由に展示見学、12時前まで滞在。

 

 なお、221日、トップ人事が発表され、柵山社長が会長、新社長は、家電担当の杉山氏。社長任期が4年で、稼ぎ頭の部門からではない、という法則性は踏襲された。CFOも松山専務から皮籠石氏へ。

 

平成の終わりにトップ交替は集中する?2018 104

 

ホスピタリティとセンス

 

今回も、説明員が丁寧親切熱心であり、感心する。ホスピタリティが素晴らしい。さらに、展示内容のセンスがよく、多岐にわたっていた。今回20テーマ、新規発表が7だったが、数多くのものから、強い技術でアッピールしたいものをボトムアップ的に選んでいるようだ。

三菱電機の研究開発説明&展示会(525日実施)2017528

 

研究開発戦略体制

 

研究開発の基本方針は不変。デザイン研究所内は同社のユニークな特徴であり、デザインとは、工業意匠だけではなく、設計もあり仕組みという意味もある。今回も、ユニークな展示があった。

 

R&D費の意味

 

研究開発費は、売上比5%弱を維持、2120億円、配分は、事業本部からの依頼研究(主として短期)47%、自主研究の短期3%、中期30%、長期10%、基盤10%であり、この短期、中期、長期、基盤の5311は意識されているようだ。

 

オープンイノベーションについては、日本が108機関で構成比53%、欧州35機関で28%、北米29機関で17%を占める。共同研究費としては、2014年を1とすると、2017年が3.3(前回は4だったが修正された)、最近は国内が増えている。

 

豊富な展示コーナー

 

展示コーナーは20ブースあり、スマート生産、スマートモビリティ、快適空間、安全安心インフラ、共通技術の5部屋に分かれて展示。それぞれの分野で、AI、ネットワーク、通信、メカトロ、デバイスと多岐に及ぶ。時間の関係で、全部は回れなかったが、8割位は、回り、質問・議論させて頂いた。新規発表のものを中心に、初めて見るような展示を優先した。ロボット展など外部の他展示会や、同社主催の昨年11月のアドバンストソリューション展示会で見たものは後周りにした。

 

同社のセグメントでは、稼ぎ頭は、FA関連だが、展示では、5G関連の無線通信や、自動運転、AI関連、家電系が多く、重電やビルが少ない。

 

AI

 

 同社のAIは、「Maisart」の体系下で、スマート学習やディープラーニングを展開している。AI活用のロボット力覚制御の高速化は、コア事業で実用的。器用に制御するAIは、様々ばセンサーを活用、形状や状況が大きく変化するワークにも対応できるところが興味を引いた。モデルベースAI利用は、円形迷路の自動学習デモ。

 

クルマ関係

 

 電子ミラーの他、光でクルマの動きを周囲の歩行者や車両に伝える安心・安全ライティングは、エレベーター案内でも使われたものだろう。電動車両を支えるコンポーネント技術では、モーター、インバータの設計技術に関連して、EMC設計が面白かった。無線、電機、センサー、CADなど、こうした総合技術が、クルマでは重要だ。

 

新方式のアレーアンテナREESA

 

 今回の発表で、一番、関心を引いた。アレーアンテナであり、5Gにも衛星TVにも気象レーダー、ドローン、マイクロ加熱にも応用できる。多数の小さなモーターにアンテナをつけて、個別に回転させ、電波の位相をかえ、高精度なビーム操作ができる。電機と電子メカという総合技術があって初めてできる応用であり、独創的で実用的だ。

 

5G通信

 

 これまでも、注目してきた5G関連では、一層、進展している。AI利用のインテリジェント無線通信技術も興味深かった。

 

その他

 

 静電気利用のエアコン、デザイン研による目の不自由な方のインターフェイス、物体の質感を目の視線をカメラでとらえ、光の反射を計算、リアルな金属面を普通のLCDなどに表現するインターフェイスも面白かった。

 

 

三菱電機の強み

 

 AIそのものもあるが、自社の強い無線や制御に、MAISARTを応用し、実績を出しているところ、強電と弱電、メカトロの融合、部門間をこえて、技術を伝搬させるところが興味深い。