日経新聞2月26日朝刊で、「ニッポンの革新力」として、研究開発投資効率ランキングを発表している。数値が1以上を重視、1/3が1以下であり、問題だとした。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27377370V20C18A2TJC000/
日本のランキング1位は、ブリジストン5倍、2位がNTT4.7、電機では、京セラが9位で1.8、三菱電機が11位で1.7など。海外はアップルが38倍で1位だ。
古くからのMOTの大きなテーマ
こうした研究開発投資の効率性は、古くからあるMOTのテーマである。同様の定義では、かつて、累計ではなく、単年度のOP/R&DをKPIとし、2以上を目標としていた。また、アンリツでは、OPではなく、GPを使った。
単年度ではなく、5年累計を使い、かつ、タイムラグを意識して、数年ずらすなどの工夫は評価できる。遅延年を、いくつか試してみて、傾向を見れば、もっと良かった。また、利益でなく、売上増というやり方もあるだろう。また、赤字になり易く、反面、リストラで改善し易く、定義面で問題があるOPより、GPの方が妥当だろう。他方、問題点は、R&Dの定義だ。
R&Dの中身の定義が重要
R&D費には、コーポレートラボの自主研究、コーポレートラボの依頼研究、事業部のR&Dが混在している。企業が公表しているR&Dには、COGSの中のものと、SGAにあるR&Dが混在している。
この中で、本当に将来の業績向上になるのは、SGSの中に多い自主研究や依頼研究であり、事業部のR&Dの実態は歩留まり改善など投資でなく、当期の費用に過ぎない。これは、むしろ少ない方が、OPは大きくなる。本来の趣旨は、研究開発投資が将来の利益になるとうべきであり、事業部の費用となるような、それを削れば、OPが増えるような数値はおかしい。
売上によらず真のR&D費は一定
総合電機では、概ね売上R&D比率は5%程度ゆえ、日立で5000億円程度、東芝2500億円程度などだが、実は、コーポレートラボのR&Dは、総合電機5社、ソニーも含め、売上によらず、ほぼ一定だ。これこそが、研究開発投資と言えるものだろう。また、この数値が海外と比べる場合、フェアではないか。