東芝が7000億円規模の自社株買いを発表(6月13日)

 

東芝が613日に、株主還元策として、7000億円規模の自社株買い実施検討を公表した。東芝メモリ売却益1.1兆円から、フリーポート問題、株主訴訟などリスクを織り込み、7000億円程度は妥当だと判断した。単独業績はまだ不十分なため、配当はできない。成長施策としてM&Aもあるが、過去の失敗から慎重に対応、また、メモリも原子力もない東芝としては、これで妥当な株主資本比率を維持できると記している。

 

 報道や識者の意見には、「成長に使うべきだ」、「ファンドの圧力」だ、などいろいろあるが、決算説明会でも、その可能性に触れており、既定路線だろう。妥当かつ素晴らしい判断だ。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31740670U8A610C1EA1000/

 

 そもそも、WH関連譲渡等だけでも、税金タイミングが良ければ、債務超過は回避できたが、万が一を考え、絶対安心のための増資だった。ゆえに、そのリスクをとった株主に、還元するのは当然だろう。また、メモリも原子力もない東芝に、そんなキャッシュは不要だろう。「カネの使い方が下手なくせに貧乏な」会社が、思わず、巨額のカネがあれば、ロクなことはない。余計なM&Aなどしても困る。せいぜいあるとすると、フリーポートのリスクを一気に払拭かどうか程度だ。

 

 結果論では、増資は不要だったといえるが、それは、後講釈であり、万が一に備えるのが経営だ。そして、その万が一(実際は、もっとリスクは高かったが)を無事に乗り切った以上、それ戻すのは当然だ。

 

東芝の決算説明会に参加〜メモリ売却方針は不変と車谷Nextプラン2018 5 17 続きを読む

 

これで、株主総会も無事に乗り切り、かつ、メモリ売却は、債務超過回避だけが目標でないことはわかっただろう。これについては、日経の西條氏も同様の趣旨のコメントをしている。

 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31633260R10C18A6DTA000/

 

ほぼ、これで、東芝問題も収束に向かい、本体もメモリも、それぞれ異なる形で成長へ軸足を移す。

 

今回も、シャープと鴻海、INCJ問題同様、多くの「識者」が、東芝は破綻、上場廃止、メモリは売らない、独禁法は認められない、ファンド圧力でメモリ売却中止、などなど、最後の最後まで、憶測を事実のように語り、間違った予測や認識をする中で、まずまずの予測と見識を示せた。