サイクルは消えたか?

 

この世には、サイクルがある。天体運動である、太陽の黒点、四季、昼夜、月の満ち欠け、また、これに生物も影響を受け、ホルモンなども分泌サイクルがある。もちろん、物質にも、固有周期がある。経済でも、シリコンサイクルやクリスタルサイクル、PCやスマホの買換えサイクル、建設循環、在庫循環などの景気循環サイクル、更にイノベーションのサイクルがある。これを元に、経営重心理論では、企業にも、固有周期があると仮定をたて検証した。

 

市場側でも企業側もサイクルが消えてきた?

 

 一方、近年は、半導体もかつての3-4年のシリコンサイクルから1年以下のシーソーサイクル、最近はスーパーサイクルと言われ、サイクルは消えたようでもある。

 

 企業戦略においても、モノ売りからコト売り、リカーリング型導入で、サイクル性を消そうとし、また、クラウド化により、ソフト等は、毎日のようにバージョンアップが成される。消費者も、所有欲から、利用価値を重視するようになってきた。

 

日経新聞の「やさしい経済学」のコラムでも兵庫県立大の川上昌直教授が「広がるサブスクリプションモデル」のタイトルで先週、連載していた。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32953420T10C18A7SHE000/

 

サイクルは見えにくくなるが、どこかで残る

 

 半導体に関しては、スマホ等の民需用途からデータセンターやクルマ、産機など産業用への移行が起こっており、よりサイクルは長期化している。また、クラウドを支えるインフラは、ハードであり、必ず寿命や更新がある。製品の開発サイクルもある。そこは、ハードがあり、設計する側が、生身の人間である以上、また、サプライチェーンが物流である以上は、サイクルは消えない。

 

 企業経営では、各社がリカーリング型へ移行したいのは当然だが、それが容易なのは、プラットフォーマーであり、中規模企業では、難しい。また、必ず、契約期間というものは存在し、シェア争いもある。製品開発なども連続的にサイクル性がなく、できるわけではない。むしろ、ある期間の後でのボラティリティが増えるのではないか。