金融緩和、AI・IoTやADASなど技術革新、人手不足備えた自動化、データ駆動経済による半導体メモリ投資下でのスーパーサイクル、その中でのM&Aブームなど、ここ数年続いてきた好景気が偏重をきたしているのではないか、との懸念が出てきた。背景は、利上げなど金融出口戦略の兆し、米中貿易摩擦、幾つかの統計での変調だ。国内では、2020年のオリンピック後の反動減、ポストクロダノミクスの金融政策変更などは、2019年の新しい元号への移行もあり、状況的には、昭和から平成にかけてのバブル崩壊に似ている。
既に、事実としては、昨年まで堅調だったFPDは、TV向けもスマホ向けも、LCD、OLED共に価格下落が続き、DRAMやNANDもスポット価格は下落している。TSMC月次も軟化、ウェハーも12φは在庫が増え始めている。
機械統計でも、FA関連のPLC等6月もマイナスであった。部品も、MLCCは、なお逼迫だが、リニアガイド等は一時期ほどではないようだ。
決算1Qも、業績下方修正はないが、装置業界では、半導体、FPDとも、韓国中心に延期が出ており、FA関連の説明会では、オムロンや三菱電機など警戒モードに入ったとのコメントが増えてきた。
QコムのNXP買収中止も、米中摩擦はあるが、それだけではないだろう。その前に中止となったブロードコムによるQコム買収中止もある。2014年頃から始まった半導体業界の大規模買収も、サイクルの終焉、金利上昇などを見越した「祭りの終わり」ではないだろうか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33561110Q8A730C1MM0000/?nf=1
少なくとも、経営者や投資家のマインドが、出口を模索し始めたことは間違いないのではないか。こうした懸念を払拭する強い材料が出てくればいいが、それが無ければ、夏の終わりには、一層、警戒感が強まり、2Q決算発表は、下方修正が出始め、それは、終わりの始まりになるかもしれない。