日経新聞8月22日朝刊は、「東京電力ホールディングスと中部電力、日立製作所、東芝の4社が原子力事業で提携協議に入った。」報じた。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34438270S8A820C1TJC000/
電力会社(オペレーター)と、原子炉メーカーが「異例」の「垂直連合」に踏み込む、とするが、オペレーターとメーカーが分業しているのは、日本の特徴であり、海外でも垂直統合の例はある。 また、表現は「新水平統合」としているが、電力会社と原発メーカーが統合すべきだと主張している。
https://www.circle-cross.com/2015/12/02/2015年12月2日-2020年に向けての電機業界の再編は新水平統合/
報道によると、国内原発の建設再開や廃炉作業の共同化を検討、4社で保守管理会社を設立、更に、原発事業全体の統合も視野に入れるようだ。原発は、BWRとPWRがあるが、BWR(GE系)での統合となる(東芝が買収して減損計上して売却したWHはPWRだった)。
実現し、日立や東芝が持ち分法対象外ならポジティブ
既に、東電と中部電力は、JERA社を設立、国内火力発電を2019年春に統合するが、原子力事業は課題が残り、日立も、UKでのホライゾンの出資先を探しており、WH問題で一段の東芝も、ニュージェンの問題が残っている。統合会社が設立され、日立や東芝が少数での出資で、持ち分法適用外になれば、両社の原発リスクが大きく減ることにはなる。
BWR系も含め、大再編か
また、BWR系会社ができれば、もう一方のPWR型陣営の三菱重工、関電なども、同様のスキームに向き議論が始まり、その場合は、これも出資比率次第だが、三菱重工のリスクが大きく減ることになろう。
BWR陣営では、残る東北電力、中国電力、北陸電力、PWRも、他の電力会社がどう対応するかで、全体の再編論もあろう。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34455060S8A820C1TJ1000/?n_cid=SPTMG002
これまでも、日立、東芝、そして三菱重工の原子力統合議論は、燃料での議論だけでなく、全体もあり、かつて大スクープだった日立と三菱重工合併も、3.11後の原子力事業のリスクと負担の大きさが背景であったろう。
https://www.circle-cross.com/2016/09/29/2016年9月29日-日立-東芝-三菱重工の原子力-事業統合へ/
産業革新機構か原子力再編機構か
従来から、原発は民間メーカーのリスク範囲を超えており、ROEなどの収益性よりも、優先すべき安全性などの要件が多く、上場会社として、関与すべき事業かどうか、議論すべきだろう。
https://www.circle-cross.com/2017/01/06/2017年1月5日-産業革新機構-incj-でなく原子力再編機構を/