ルネサスが米IDT社を7330億円で買収することを正式発表した。既に、8月31日の日経報道の後、何度か、報じられ、驚きはない。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34864210R30C18A8TJ1000/
内容的も、会社等からのリークであろうし、概ね報道通りだが、市場で懸念があった増資が無かったのはプラスだろう。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34816140R30C18A8MM8000/ 。
11日に正式記者会見、HPでも視聴した。https://www.renesas.com/jp/ja/about/ir/event.html#presentation
IDT社〜ミックスドシグナルのファブレス成長企業
IDT社は、データセンター向けやiPhoneのワイヤレス給電向けなどで強み。
一言で言えば、良い買い物だが、単純計算すると、EV/EBITDAで25倍前後、また、シナジー効果を織り込んでも、20倍弱(業種別では、IT系で10倍、最高のヘルスケアでも15倍 ARMは30倍以上、インターシルも30倍以上)は、やはり高いといえよう。しかし、2017年のインターシルのケースよりも腑に落ちる内容だ。またある意味、インターシルも、IDTの布石だったのかもしれない。
発表概要
ルネサスによるIDT買収は、$49/株 (8月30日終値に対し29.5%プレミアム)、株式価値 $6.7bn (約7330億円)、企業価値 $7.2bn (約7870億円)。クロージングは、19年6月末を目標。買収資金は、増資はせず。借入金約6790億円と手元資金で充当する予定。
ルネサス側は買収後のネット有利子負債は約7570億円、ネット有利子負債/EBITDAは3.2倍まで上昇するが、2年強程度後には1.0倍まで低下予定。また、ルネサスは今後数年間の投資額は必要最小限の水準で推移するため、FCF創出力が向上するという。
買収目的は、①ルネサスと補完的な、IDTのアナログ・ミックスドシグナル製品群とマイコン/SoC、及びインターシルのパワーマネジメントICとの組み合わせによるソリューション提供力強化、②データセンターや通信インフラ向けなどに事業領域拡大、産業・自動車分野のポジションを強化。
ルネサス側は買収後早期にNon-GAAPベースの粗利益率が約1.6%ポイント、EPSが約18%増大すると予想。売上8740億円、Opm17%強へ、成長とコスト効率化によるOP増を長期で年間$250mn見込む。
B/SはIFRS移行もある
2018年後半-19年前半のルネサスは、CAPEX低水準で推移、在庫圧縮もあり、年間1000億円程度のFCFが十分期待でき、買収に伴うレバレッジ増大、B/S悪化への懸念はある程度緩和されよう。他方、来年度より、IFRS導入、ノレンが影響する。
業界再編
国内の非メモリ半導体業界は、ルネサス以外に、ソシオネクスト、ロームなどがあるが、中堅の新日本無線はリコーデバイスと連携。