去る11月20日15時にGSユアサの決算説明会があり、参加した。今回は、決算関係だけで、技術的なトピックスは無かった。プレゼンは、村尾社長で質疑も対応。なお、短信は、通常の営業利益、プレゼン資料では、ノレン償却前の営業利益であり、やや紛らわしい。
業績好調
業績は、上期の売上2100→1954億円、OP60→70億円、ノレン前OP73→82億円、NP30→35億円、売上は下ブレたが、過去最高、OPは、鉛価格下ブレが効いた。費用減効果もあったが、期ズレで、通期では、イーブン。
2018年度通期は、売上4500→4000億円、OP220→230億円、ノレン前OP245→255億円、NP130→140億円。売上減は、自動車海外が鉛価格連動で売価下落と中国自動車販売減、OPでは、国内自動車に鉛価格減。鉛価格建値は、現在、30万円/tだが、前提の34万円/t(LME2500ドル)は不変。
セグメント別では、国内は、ISS(アイドリングストップ)車用の鉛電池が高水準、補修向けもミックス改善、更にEN(欧州統一規格)採用も増加。前期より、パナソニックの鉛蓄電譲渡の影響を織り込んだが、今期は、シナジー効果もあり、利益率改善。
海外では、中国、タイ、インドネシアはフル連結だが、トルコやインドが持ち分法適用であり、注意を要する。自動車用鉛蓄電池は、中国は増加だがアセアン減、オートバイは、タイ、インドネシアは増加だが、中国ベトナムで減。中国では、排ガス規制で、ISS(EFB:ISSで液式)が急増、天津工場のキャパを400万個/年から、2021年度600万個/年へ。オートバイでは、インドの工場のキャパを240万個/年から、2021年度700万個/年へ。
産業用電源は、フォークリフトは好調維持、国内では2006年からのオフロード法、欧州も排ガス規制で約80%がバッテリー式となり、需要期待。他方、バックアップ用電源は減、現在、クルマなら、4.5万台分のLIBで、好調という風力発電用蓄電池はリスク。
なお、特機事業は6月に、マクセル社に譲渡。規模は30億円程度。特機というと、防衛向けと思われるが、そうではなく、小型リチウムイオン電池用充電器、ACアダプタ、酸素センサ、水素ガス発生装置、溶存酸素濃度測定モニタ・センサ、電動工具、リチウムイオン電池パック(主に工具用途)、充電器など。
マクセルは、ドローン用など強化。電池でも、経営重心的に右上の軽いのはマクセル、GSユアサは、産機やクルマ、インフラ等、下側だ。
車載リチウムイオン電池は再び、上期で赤字。通期の黒字は目指す。LEJは好調だが、ブルーエナジーが苦戦。工場の稼働は、LEJで欧州向け80%、BEは80→70%と低下。
完成形で実績を出すフェーズ
GSユアサは、2004年に、旧GS(日本電池)と、ユアサ(YUASA)が対等合併して、14年を経過、それまでは、鉛電池が中心だったが、クルマ向け中心に、リチウムイオン電池を強化、三菱商事や三菱自工とLEJを、ホンダとブルーエナジーを設立、苦労したが、ようやく黒字基調になった。また、パナソニックからも、鉛電池の譲渡を受け、今回は「電池」のマクセルに、特機事業を渡す。環境規制も追い風であり、中国やハンガリー等、海外に工場も増やし、ポートフォリオは固まって、攻めるフェーズのようだ。