去る11月22日に、アナリスト、マスコミ向けに、東芝の技術戦略とCPS戦略に関する説明会が、2年ぶりに開催された。2016年10月以来。前半は、R&D担当の斉藤専務、後半は、デジタライゼーションCTOでIBMから招聘された山本宏氏。残念ながら、当日は教授会があり参加できなかった。HPには、プレゼン、質疑も含め、掲載。視聴したので、報告する。https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/opr20181122.htm
最初に、車谷会長の10分近い挨拶。NEXTプランでも紹介されたCPSの話、東芝のDNAはベンチャーだと強調、個別では、精密医療へ再参入。
斎藤氏は、東芝で、デバイスなどを中心に、長年、R&D一筋、メディカル部門も経験、どちらかというと、重電よりは、デバイスやデジタル家電、メディカルなどが多いようだ。
3分類で21の技術を紹介
プレゼンでは、NEXTプランで掲げられたCPSテクノロジー企業を目指すため、①豊富な事業ドメインに基づくコンポーネント技術の更なる強化、②AI・IoTをベースにしたデジタル化により顧客価値を向上する技術の開発、③将来顕在化する社会課題を解決するための先端技術の開発、と3つのカテゴリーに分類された。
このうち、いわば、①は要素技術、②は応用、③は先端基礎というイメージだろう。
この3つに分け、それぞれ、8、8、5の計21の技術が紹介された。①では、SCiB、パワーデバイス、ViscontiとLiDAR、ニアラインHDD、超臨界CO2サイクル火力発電用ガスタービン・燃焼器、②では、東芝におけるAIの技術開発の歴史とオープンイノベーションを取り入れた開発、アナリティクスAIである、SATALYSの紹介、③では、ゲノム解析から健診、診断、治療まで、精密医療の要素技術の紹介、重粒子ガン治療、生分解性リポソーム、スタンフォード大学と連携のAIデバイス、ケンブリッジ大学と連携の量子暗号通信、など。
この他、CPS事例では、IoT活用の電力需給安定化、鉄道保守高度化、ロボットによる物流自動化も紹介された。
ほぼ、これまでも、紹介されたものであり、新鮮味がなく、むしろ、実用性の進展や、何故これまでは離陸しないが、これからは違うのか、と言った説明が乏しかった。
研究開発体制
研究開発体制(R&D)では、19-23年度に累計9300億円、平均1800億円弱ゆえ、ほぼ、売上高比率5%はこれまで通りだ。ただ、過去は、メモリーにかなり集中、原子力も多かったので、その分は、かなり、メモリー以外のデバイス、IoTやAIに振り向けられるだろう。R&D体制は、一見、「研究開発から製品まで一気通貫のバリューチェーン最適化」とあり、リニアモデルに見えるが、最初の段階で、ビジネスモデルまで考えるそうだ。
R&D組織では、研究開発本部の下に、コーポレートラボとして、研究開発センター、ソフトウェア技術センター、生産技術センターや、海外の欧州研(ケンブリッジと通信)、米、中国、ソフトウェアのインド、ベトナムがある。欧州と米の研究所は、基礎研究が中心で、海外の有力大学と連携、オープンイノベーション。ソフトウェアは、むしろ事業所に近い印象。また、各事業部門に、ワークスラボがあるのは、これまで通り。これ以外に、100億円規模のCVCがある。