9月25日に旧INCJが会社分割により発足したJICが迷走している。報酬問題が注目されているが、投資方針も含め、意見の相違が大きいようだ。
JICとINCJの違い
もともと、8月31日にINCJが記者会見を開き、9月21日に、新設分割により、新INCJとなり、9月25日に、JICが設立となった。
記者会見した田中正明社長は「単なるゾンビ企業を延命する気は全くない。賢いマネーの供給者になる」と強調。AIなど成長分野に強い技術などをもつ企業を選別して資金供給する姿勢を示し、①ソサエティー5.0に向けた新規事業推進、②ユニコーンベンチャーの創出、③地方に眠る将来性のある技術活用、④既存事業の産業や組織の枠を超えた事業再編に資金を投じるとしていた。
旧INCJと異なるのは、個々の投資案件に経産大臣の意見聴取が不要で、投資にはより自立した立場をとり、迅速な判断をめざすとしていた。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35730830V20C18A9EE8000/
しかし、下図を見ると、微妙に、表現が異なる上、よく見ると、経産大臣が意見を述べるという部分もある。この解釈や中身が本質だろう。
本質は報酬問題ではない
報酬問題もあるが、むしろ、そこは世論誘導であり、本質は、案件の方針だろう。もう、INCJでは、産業再生に係る新規案件が難しく、ジャパンディスプレイなどが支援できないが、そこを、JICでやりたかった可能性もあろう。
INCJの問題点とJICの課題
元々のINCJの問題点は、過去、何度も論じているように、①組成がダメで利害相反、②最初は志があったが、すぐに役所や海外ファンドの天下り先になり腐る、③役所や政治家、銀行など同床異夢、④ETTを持つ紺野先生以外は、目利き力、人脈が、弱く、特に、実行部隊が実質、経産省や銀行である、等が問題であった。さらに、本質的な総括が無いまま、延期となったことも課題だ。
https://www.circle-cross.com/2015/08/25/2015年8月22日-産業革新機構の折り返し点の評価/
https://www.circle-cross.com/2016/01/16/2016年1月16日-incj再考-ミイラ取りがミイラになるリスク/
https://www.circle-cross.com/2016/12/12/2016年12月12日-鴻海-シャープ-jdi-incj問題を振り返る/
https://www.circle-cross.com/2017/01/06/2017年1月5日-産業革新機構-incj-でなく原子力再編機構を/
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO97172410Q6A210C1NNS000/
これに対し、JICは、以下だろう。