日産自動車とゴーン問題、そしてINCJとJIC

 

ゴーン氏が1119日の逮捕された直後に、第一印象を記した。ポイントとして、「①日産は、報酬委員会がなく(監査役設置会社)、非IFRS、②報酬は、キャッシュだけが記載、業績連動等がないのは違和感。日産株は多数保有。外資では通常、複雑な報酬スキームがある、③不動産所有等が報じられているが、これは、他の会社でもフリンジベネフィットがあり、これが全部、報酬と見做されるなら、有価証券報告書記載だけでなく、税務でも、産業界全体の大きな話となる、④要は、有価証券虚偽記載は、きっかけに過ぎず、もっと奥深い問題があるのでは(内部告発、社内対立)と見るべきで、近因は、カリスマトップ及び周辺側近の行き過ぎだが、真因は、クルマの業界再編と株主構造のガバナンスの歪み、遠因は、企業体質だろう(それ故に、委員会設置会社でなく、IFRS対応がない)」とした。

 

https://www.circle-cross.com/2018/11/20/ゴーン氏逮捕の裏にあるもの-第一印象/

 

日本と海外の対応差 

 

その後、ゴーン氏は拘留が延期、様々な憶測、報道が出ている。日本では、ゴーンに批判的であり、確かに、個人の運用付け替えや親族への便宜などなど、驚くべき点も多いし、特別背任になれば、致命的だろう。最初、田中角栄逮捕の既視感を指摘する声もあったが、全く異なるかもしれない。他方、海外では、日本の司法制度に驚き、批判的である。新日的な知人でさえもそうだ。親しい他方で、ファーウェイCFO逮捕もあり、これまた、各国で意見が異なり、興味深い。共に、売上10兆円を超えるグローバル企業のカリスマトップが、短い期間に逮捕されたというのも、あまり過去例がないだろう。

 

第一印象の検証

 

 そこで、第一印象を、検証すると、①ガバナンスや会計制度が不十分、②報酬スキームの海外での複雑さについては、多くの識者も指摘して、その通りだった。③のフリンジベネフィットは、これからの議論だが、ゴーン氏の場合は度を越しており、論外だろう。④については、クーデターとの見方が強くなっているようだ。

 

すなわち、真因として指摘した、クルマ業界の再編と株主構造歪み、という指摘は、いいところをついていたのではないか。つまり、ゴーン氏は、ルノー中心に日産や三菱自工を完全統合し、CASE等に備えようとし、それを止めようとする中で、内部対立からクーデターとなったのだと憶測している。

 

CASE再編トヨタに対抗できるモビリティキャリア

 

そこで、興味深いには、124日のJIC問題の突然の浮上であり、唐突に、JICの報酬を巡る問題で、民間出身の役員と経産省側で対立、その後、結果、民間役員が全員辞任となった。一見関係がないようだが、同じタイミングで、唐突に起きた事件は、底で繋がっている可能性がある。

 

巨大なカリスマが作る風土

 業界では常識であり、一部の方は指摘しているが、あまりマスコミで報道されないのは、かつての日産のドンであった塩路氏の件だ。