ティム・ワイナー著「CIA秘録―その誕生から今日まで」(上下2008文芸春秋、原題『Legacy of Ashes』)を正月に読んだ。ニューヨークタイムズ記者で長年、政府機関をフォローしてきた著者が、5万点の機密解除文書。10人の元長官を含む300人以上の全実名証言インタビューで書かれたもの。CIAに関しては、誰もが知っているが、秘密の存在であり、憶測や妄想による書物は多いが、その点では本書は異なる。
中身は、CIAの創設以来の歴史から、朝鮮戦争、対ソ戦略、スカルノ政権打倒、カストロ暗殺計画、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、イラン革命、9.11対応、イラク大量破壊兵器問題など、歴史を振り返る場合参考になるピソードが多いが、秘密工作が失敗を重ね、米の国益を損なったのに、それをいかに隠蔽したかを暴露。それゆえ、全米で30万部のベストセラー、全米図書賞を受賞した。それゆえ、 CIAは公式HPで反論を掲載したそうだ。どちらが正しいかは知らない。
日本版のため、著者は2章分、12章の 「CIAによる自民党に対する秘密献金」、46章「日米自動車交渉での経済諜報」を書きおろし、興味深い。
既に、多くの方が、読まれ、中身をより詳細にご存知の当事者もおられるだろうが、コメントしたい。