経営重心分析は、単位を持つ定量的・客観的な二軸で、業界を超えての事業の距離測定が可能であり、同時に、企業内でのポートフォリオ再構築等にも参考になる。だろう。実は、経営重心には、業界での様々な製品や産業の特性や競争力に関する議論、企業におけるポートフォリオや関連した組織構築の議論がある。
その意味では、考え方としては、同じ経営重心であるが、前者は、事業重心(産業における広義の経営重心)、後者は経営重心(企業における狭義の経営重心)というべきかもしれない。
前者では、「ジャパンストライクゾーン」と命名した中周期(5-10年)、中桁数(数千〜数千万台のロボット、OA機器、計測など日本が健闘するという国際競争力における産業領域の考え方や、一見、同じ名前の製品でも、固有周期、固有桁数が変われば、アーキテクチャやビジネスモデル、更に産業構造も変わるという考え方、等が含まれる。
後者では、産業構造が変われば、それに適応して、企業がポートフォリオを入れ替え、セグメント変更、組織も再構築される。その結果、企業の経営重心は動き、ドメインも変わり、ドメインの広さも変わるわ、という考え方である。その事業変化に対応しマッチングする課程では、生産体制や営業体制も変わり、徐々に、企業の風土や文化も影響を受けるわけである。事業の広さが変われば、スパンオブコントロールも異なり、経営・ガバナンス体制も変える必要もあろう。当然ながら、相応しい経営者のタイプも違ってこよう。
マクロと企業内の知見は多いが、相対的に業界に関しての知見は少ない?
経営学一般でも、ポーターに代表される競争戦略などは、業界の話も多いが、バーニー等のリソースや組織論、リーダーシップ等は、全社戦略といいながら、むしろ企業内の話である。ただ、それが、事業戦略になれば、競争でもサプライチェーンでも、当然、他社との関係が重要になるので、業界との関連が多くなる。そこが、経営学派の分類の中では、やや混沌、区別が不明である。