ナブテスコの決算説明会に初めて参加した。ナブテスコは、2003年に、帝国製機、ナブコ(旧 日本エアーブレーキ)が統合されて誕生した会社である。セルサイド時代は担当業界ではなく、2005年からのファンド時代も縁がなかった。
MOTで社会人学生がIR担当者であり、いつも自己紹介で、「ナブテスコ、ナンデスコの××です」と発言、耳に焼き付けられ、たまたま、アナリスト説明会の案内が来たので、参加となったわけである。
8日7日10時から1時間半程度だが、業績について寺本CEOから、ESGに関しては担当役員の木村氏から説明、その後、まとめて質疑。質疑の大半は業績と市況に関するものであった。
参加者は多数、投資家はだいたい知っている顔、アナリストは、ほぼフルカバーだが、ややジュニア層。投資家では、エレクトロニクスに比べ、やや女性が多い印象。
開示とガバナンス
社取の藤原氏は、元オムロンのIRで知己。また、寺本CEOは神戸製鋼出身で営業企画畑だが、進化論の「赤の女王」仮説につい、コメントがあり、興味深い。
HPの開示は、四半期受注など充実しているが、動画開示は、CEOのプレゼンのみ。統合報告書は、セグメント別の戦略や市場動向など分かりやすく説明されている。
ESG関連では、ROIC>WACCの紹介をし、全社はWACC6%想定だが、セグメント別に全く異なると推定されるが、開示なし。なお、昨年、OVALO社の減損ではWACC17.7%を使った。CAPEXについては、詳細開示だが、R&Dについては開示があまりない。
業績〜過去10年で2倍、減速機と油圧でロボット向け成長だが景気変動受けやすい
上期(2019年6月期)は、売上1423億円、OP135億円、NP75億円、通期2019年12月期は、売上3130億円、OP300億円、NP229億円、不変。
中計2020年度は、売上3300億円、OPM12.5%。なお、この10年で、売上、OP、ほぼ2倍となっているのは立派だ。その意味は、2003年の経営統合は成功といえるのだろう。
セグメント〜CMPが中心、ロボット向け成長だが景気変動を受ける
売上の1/3、OPの2/3は、精密減速機と油圧機器からならCMP(コンポーネント)で、精密減速機は中大型ロボ関節用で世界シェア60%、油圧機器はパワーシャベル用走行ユニットで世界シェア25%。
次いで、売上の1/4強、OPの1/4弱が、鉄道車両機器と航空機器からなるTRS(トランスポート)で、鉄道車両用ブレーキシステムは、国内シェア50%、鉄道車両ドア開閉装置は国内シェア70%、航空のフライトコントロール・アクチュエータは、世界4強、国産機はシェア100%、商用車ウェッジチャンバーで国内シェア70%、エアドライヤーでも国内75%、舶用エンジン遠隔制御システムで国内50%。
また、売上で1/4弱、OPで1/5の自動ドア中心のACB(アクセシビリティ)、プラットフォームスクリーンドアで国内シェア95%。
最後に、レトルト食品用充填包装機が中心のMFR(マニュファクチャリング)は国内シェア85%。
良いポートフォリオ
このように、グローバルの景気影響を受け易いCMPと、国内向けに高シェアの事業からなり、いいポートフォリオだろう。