脱業界区分

 

アナリストは、担当企業が属する業界別に専門化されている。そこで、色々な分析手法、経営理論を用いて、レポートを書く。他方、アカデミックの学者は、経営学のそれぞれの分野別に専門化が成され、自身の経営理論を広く、どの業界でも成り立つように普遍化しようとする。もちろん、小売業界に強いマーケティングを専門とする学者、ファイナンスに強い医薬品アナリストはいるが、基本は、アナリストは業界別、学者は理論別だ。

 

 ところが、企業は多角化し、他の業界に参入、技術進歩もあり、業界の垣根が崩れ、融合が起きている。そうであれば、もはや、縦割りの一つの業界の専門家などと胡坐をかいているわけにはいかない。また、学者は、これまで学派別、学会別に横割りであり、他の専門分野に入ろうとせず、自身の理論に拘り、他を認めない傾向にある。しかし、実際の企業分析では、一つの理論で解明できるものではなく、複数の理論を統合し、条件に応じて使い分けが必要だ。また、そもそも、業界特性によって、経営理論が相性がいい場合と、そうでない場合がある。

 

 

 そこで、アナリストの世界では、縦割りを排し、チームを融合、一般的な業界区分を無視するような動きが出てきている。

 

アカデミックでも、経営戦略理論を分類したりする試みも徐々に出てきており、なかなか対応できないが、「戦略にこそ戦略が必要だ」などの書籍に見られるように、これまでの普遍的な適用でなく、状況に応じ、戦略パレットから適する戦略を選び出すという考え方も出てきている。

 

 

 経営重心の観点からは、実は、状況の話と、企業文化に関わる話があり、この切り口から象限別に担当があっても面白いかもしれない。