東芝の決算および中計(Nextプラン)進捗説明会(11月13日15時半〜)に一部参加、聞けなかったところは、HPで質疑も含め視聴した。プレゼンは車谷会長CEO、出席者は綱川社長COO、平田CFO、決算は平田CFOがプレゼン。マスコミ投資家アナリスト合同。
今回は、目標ROSをOpm5%としたが、流行の単なるROIC等だけでなく、関連して最適な資本構成に関する会社側の考え方が示されたのが秀逸。質疑は、当日、発表された上場子会社3社(ニューフレアテクノロジー、東芝プラントシステム、西芝電機)の完全子会社化に関するものが多い。この件は稿を改めて論考したい。
業績は好調
上期業績は売上1.71兆円、OP521億円と好調、100億円程度の上ブレの模様。重電関係が火力など、受注絞りこみの中で、目標としているOPM5%を超える好案件受注が増え、ロスコンや調達改革も奏功、米中摩擦で半導体など下ブレを相殺。
通期は売上3.4→3.44兆円、OP1400億円は不変。通常、上期のOPウェイトが30%ゆえ、半導体の下ブレを補って余裕はありそう。
最適ポートフォリオの中での最適B/S構成
今回、資本政策ガバナンスの議論の中で、最適B/Sの在り方についての考え方が示されたのは秀逸。ROICやROEの議論は流行だが、肝心の分母、自己資本比率の適正水準の議論がない。
今回、東芝は7000億円の自社株買い、上場株式2600億円、不動産700億円を売却した。売上も2014年度に6.7兆円から3.4兆円、7事業で3兆円規模の事業を売却したが、PCやTV等B2Cが1.1兆円、リスク特性が異なるメモリやランディスギア、WH等の事業や危機対応でやむなく売ったメディカルもある。経営重心でみれば、ジャパンストライクゾーンの外側をほぼ売り切ったことになる。
2005〜2014年度は、株主資本比率は平均で15%、実額では1兆円弱あったものの、繰延税金資産と暖簾を合計すれば1兆円あり、実態としては債務超過状態ともいえた。実際、繰税取崩や暖簾減損で、2016年度の株主資本比率はマイナス13%で債務超過となった。現在は30%前後かつ繰税も暖簾も殆どない健全な状態だ。
他方で、TSRやROICやROEの議論では、最適な株主資本比率がどの程度かということが重要だが、今回、ベンチマーク比較で、30%程度とし、資本コストを下げる。その中で最適なキャッシュの使途として、これからは、自社株買いやM&Aよりも、上場子会社の完全子会社化が最適だと判断し、2000億円を投じたことは極めて適切な判断だろう。
次はCPSを活用しての成長だが、2021年度のターゲットは高い
あとは、会社側も理解しているように、次は、R&Dによる成長で、2021年度売上3.7兆円、OP2400億円、2023年度ターゲット売上4兆円以上、OP4000億円は、なお、容易ではない。