富士フイルムが日立の画像診断機器事業を買収が決定した。日経報道12月18日朝刊の後、正式発表。買収金額は、日経報道では1700億円だったが、発表によると、両社は、事業価値1790億円で合意、最終金額は、精査後確定のようだ。この金額は、以前、報道されていた1000億円を上回る。
対象事業の業績は売上規模1432億円(2018年度)、CT、MRI、X線、超音波診断、電子カルテ等も含まれ、かつての日立メディコやアロカが対象。OPの開示はないが、2018年度のヘルスケアBU全体の売上実績は1761億円、調整後OPは43億円から、50~100億円程度との推定が多い。
成長コアから売却
かつては、2011年に、旧アロカを買収するなど、日立は、ヘルスケア事業を成長事業として、強化を目指し、2015年度IRデーでは、2014年度セグメント売上3379億円(ヘルスケア社に加え、日立ハイテク等の関係部門含む)、Opm5.7%から、2018年度には、売上6000億円、Opm10%、2016年度IRデーでは、事業区分見直しで、2015年度売上3326億円、Opm7.6%、2018年度売上目標4400億円、Opm10%。その後は、IRデーでは、登場なく、日立ハイテクとの関係で、再編が期待されていた。
今回の富士フイルムへの売却で、日立は、ヘルスケア分野では、粒子線治療や体外診断システム、再生治療に関連して、細胞製造ソリューション、医療と介護データの連携基盤、AI等による新サービスに軸足を移すようだ。
日立はポートフォリオ完成へ近づく
なお、同時に、日立化成の昭和電工への売却、ここ数年の懸案で懸案であった三菱重工との南アの紛争も和解となり、日立のポートフォリオ改革は大きく進んだ。ただ、画像診断機器事業や日立化成を売却後も、データをどうするかが、Lumadaとのシナジーや関連はあるかが、鍵だろう。
富士フイルムは執念の買収、シナジーは大きいか
他方、富士フイルムは、IR資料や報道によると、ヘルスケア事業は、2019年度売上5200億円、OP480億円を見込んでいるが、20年代半ばには、売上を1兆円規模に伸ばす目標のようだ。製品ラインナップは補完的で、医療ITで強いシェアを持つ富士フイルムにとって、画像情報のデータ量が多く、今後のAI診断の展開の可能性が高い画像診断機器事業を手中にした意味は大きい。
今回の買収が完了すれば2019年度の売上は6600億円規模であり、1兆円が視野に入る。
ヘルスケア・メディカルの陣取り合戦
ヘルスケアやメディカル市場で、画像診断機器では、かつて、大手電機において、東芝と日立の画像機器診断に戦いは、キヤノンと富士フイルムと精密機器メーカーとの競争になる。