年末に、相場英雄氏の小説をドラマ化した「不発弾」をDVDで視聴した。昨年秋頃に、知人の経営者から勧められて、2019年のうちにと思って師走に視聴した。
作者の相場氏は、元は時事通信の記者であり、経済・金融ものを扱っている小説家で、知っている方も多いだろう。小説では2017年2月に発刊、TVドラマ(WOWOW)は2018年6-7月である。このため、概ね2015年末までの話であり、メディカルの売却、PwCや、WDとのトラブル、西室氏や西田氏の死去などは含まれていない。あくまで、結末は、警察や金融庁の若手や新聞記者が東芝を追い詰めるが、政治圧力で、断念というところで終わっている。登場する会社や個人名は、すぐわかるようになっている。
会計粉飾指南と仕組債やファンドを使った飛ばしテクニックは、別の専門であり、違和感がある。また、古賀が指南の実績資料やノートを金庫に隠すが、あの程度で収まるわけはないだろう。
ドラマ冒頭の記者会見は、まさに、そこに、アナリストとして参加もしていたが、やや違和感がある。経済紙記者であれ、一般紙の社会担当の記者であれ、不正会計を詰める手法は、当然ながら、アナリストと比べ、甘かったが、ドラマでは、アナリストは登場しなかった。
全て、平成時代のバブル形成と崩壊の話だが、ドラマの登場人物を直に知り、企業の内情も少しは知る立場としては、事実とフィクションがうまく作られているが故に、故人である西室さんや西田さんの名誉もあり、記しておきたい。以前に、日経新聞の経済教室に書いた、東芝問題の近因、真因、遠因、以外での深因、政治的な深い怖さは、別のところにあり、そうであれば、西室さんや西田さんの件も、理解できるが、そこを避けて。相場氏も日経ビジネスも、正義の味方のような記事や小説を書いているのは浅いと感じる。
また、2017年以降の更に、不可思議な経緯や、PwCやWDの件も含めて、キオクシア上場やベインの関与など、まだ続く現在を、彼らはどう描くのだろか。