コロナウィルスが大きな問題となっている。マスコミ報道で、クルーズ船の乗客等をなぜ、全員検査させないのか、など批判があるが、一部、政府関係者の発言にもあるように、問題はキャパだ。
この事情に詳しい医療関係者によると、コロナウィルスの検査は、PCR法で成されているが、つい最近までは、国立感染症研究所でも、PCR法に長じた検査技師が数名しかおらず、1回に数時間(それでも、かなり早くなった)かかるとのことだ。
PCR検査は、クリームルーム内で高度な機器を使い、手作業で行うため、5名いて、1回2時間かかるとしても、1日にできるのは、フルで働いても、1名で対象12人分、実際には、8時間労働なら4人、5名が装置をフルに使っても、20人である。3000名なら、150日もかかってしまう。
潜伏期間とされる10日前後以内に、1名で40日ゆえ、4000人程度を検査するには、専門の検査技師が100人いて、それなりのクリームルームや施設、試薬がいることになる。
国立感染症研究所ですら、そういないのだから、全国からかき集め、人事発令など考えれば、そう簡単ではない。そうしているうちに、10日程度はゆうにかかるだろう。これが偽らざるところではないか。
PCR法
さて、PCRとは、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction, PCR)は、DNAを増幅するための原理またはそれを用いた手法という。キャリーマリス氏が、カリフォルニア大バークリー校で博士号を取得後、バイオベンチャー・シータス社勤務時代に開発、この功績で、1993年のノーベル化学賞に輝いた。インフルエンザの診断など医療のみならず、DNA型鑑定など犯罪捜査でも広く使われているそうだ。氏は、昨年8月に74歳の若さで肺炎により亡くなった。
このPCR法の特徴は、① ヒトのゲノム(30億塩基対)のような非常に長大なDNA分子の中から、自分の望んだ特定のDNA断片(数百から数千塩基対)だけを、選択的に増幅可能、②極めて微量なDNA溶液で目的を達成、③増幅に要する時間が2時間程度と短い、④プロセスが単純、全自動の卓上用装置で増幅できる。