キオクシアが、2020年10月の上場を目指しているようだ。想定時価総額は、3.5兆円というが、他方で、4兆円との見方もあるようだ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56127160X20C20A2EA2000/
キオクシアの業績は、NANDフラッシュ市況悪化で、2019年度は赤字転落となりそう。ただ、3Qを底に、回復、2020年度は黒字の可能性も出ている。出所:キオクシアHPより
キオクシアの時価総額を考察するに際し、比較対象は、サムスン、SKハイニクス、マイクロン、等だが、サムスンは、メモリだけでなく、スマホの寄与度も大きく難しい。そこで、SKハイニクスとマイクロンについて考える。ただし、SKハイニクスは、売上の70-80%がDRAMであり、マイクロンも、売上60%がDRAMである。収益に至っては、2019年度は赤字である。
それゆえ、NAND事業だけからのバリエーションは難しい。さらに、3社の会計基準は同一でない上、東芝は、2016年度以前は、NANDだけのDepやOPは不明であり、2017年度までと2018年度からは基準が異なる(為替は100円/$、10W/円換算、決算期も異なる)。その上で、EBITと売上をベースに、試みる。下表は、キオクシア、マイクロン、ハイニクスの2015-2019年度の業績(ピークずれは、決算期差)である。マイクロンは2015-2016年度、キオクシアは2017年度、ハイニクスは2018年度である。
現在、時価総額は、マイクロン6兆円弱、ハイニクス6.4兆円(サムスンは30兆円超)、メモリ底打ちの現況では、次のピークを見ている可能性があり、各社の過去のピークと直近からは、下記になる。
マイクロンは、ピーク:時価総額/売上2倍、時価総額/EBIT4倍、直近:夫々、2.6-3倍、20倍。
ハイニクスは、ピーク:時価総額/売上1.6倍、時価総額//EBIT3.1倍、直近:夫々、2.3倍、18倍
これを単純にあてはめると、下記になる。
以上からは、2.5~3兆円のレンジとなり、4兆円は上限だろう。なお、東芝メモリ売却議論(時価総額2兆円で売却)当時では、下記のように、2~2.5兆円で考えていた。
従来、市場価値を、市況次第で、1〜2兆円程度、セルサイドアナリストの意見では1.5兆円、東芝は売却条件として、2兆円を下限としているようだ。この価値は、市況次第と相手にもよる。一つの根拠が、WDが2015年10月にサンディスクを買った1.4兆円であるが、当時のNANDスポット価格は16GbMLC1.5ドル強、32GbMLC2ドル前後と底値だった。現在は、同順に2ドル、2.5ドル、多くは50%以上値上がりもある。https://www.circle-cross.com/2016/09/15/2016年9月15日-東芝の価値試算とポートフォリオ/
その中で、同業のマイクロンやSKハイニックスの業績も改善、株価も上昇しており、ほぼ、NANDスポット価格の上昇幅に近い50-60%アップである。それゆえ、仮に、今、サンディスクを買うなら、当時の5割増の2.1兆円だろう。これまで総合電機の中での、経営判断が遅い、資金が少ない、等の長年のデメリットやディスカウントから解き放たれることで業績改善が期待されるなら、マイクロンの2.5兆円(2015年10月は1.7兆円)、SKハイニックスの3.5兆円(2015年10月は2.1兆円)と比べ、2.5兆円もありうるだろう。
なお、マイクロンやSKハイニックスはDRAMもある。マイクロンは、2017年2月現在の時価総額2.5兆円、底値の株価10$=1兆円、ほぼ1-2.5兆円のレンジ(2015年10月は15$から23$へ1.5倍)。四半期は売上3-4bil$、GP20-40%で推移、2017年1Qは売上4bil$、GP26%、OP11%、4Qは売上3bil$、GP19%、OP2%、2Qガイダンスは売上4.5bil$、GP32%+、OP20%、自己資本1.2兆円である。
SKハイニックスは、2017年2月現在の時価総額3.5兆円(高値5.5万₩から5万₩弱)、ほぼ1.5-3.5兆円のレンジ(2015年10月は3.3万₩から5万₩へ1.7倍)、四半期売上5000億円、GP30-45%、OP10-30%で推移、自己資本2.5兆円である。東芝メモリは、2015年度売上8000億円弱、OP1100億円(13%)、自己資本6000億円、実力は売上1兆円、OPM25%( GP不明だが35-50%位)だろう。PSRやPBRではやや見劣りするが、OP比較では、2〜2.5兆円、技術など知財価値もあろう。