厚労省のクラスター対策班の西浦教授が4月15日に、何も対策しない場合、重篤患者が約85万人、40万人が死亡するリスクがあると公表した。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58067590V10C20A4CE0000/
このモデルの詳細は不明で、感染者数も明らかにされていないが、死亡率を2-4%とすると、1000~2000万人であり、これは、昨日までの感染者数に基づく単純なロジスティク曲線による推計とほぼ一致する。
また、ブルッキングスが3月2日に発表した分析では、日本の死者は、最悪シナリオで57万人、最善シナリオで12.7万人だったから数字そのものには驚きはない。
https://www.brookings.edu/research/the-global-macroeconomic-impacts-of-covid-19-seven-scenarios/
ただ、問題は、日本の数字である。下記のグラフを見ると、殆どの国では、綺麗なS字曲線、ロジスティク曲線を示すが、水色の日本だけが変な線である。https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/index.html
PCR検査も不十分であり、死亡率の高さから、3月頃でも既に5000人程度、現在既に5-10万人の感染者がいるとの専門家の指摘もあった。欧米で医療崩壊が起きたのは数万レベルだが、日本は感染者数が5000人レベルで起きている。オリパラ開催を意識したか何かの意図で、公表数字をコントロールしていたのではないか。今、まさに世界中が戦時だが、相変わらずの大本営発表か。あるいは、巨額の粉飾数字を少しずつ目立たないように出しているようなものだろうか。
なお、これに関連して、SSISの向喜一郎氏から貴重な御指摘を頂いた。すなわち、「疫学的なクラスタ潰しのPCR検査は感染発生源の追跡と臨床に必要な診断のためであり、工学的にいえば、量産製品で起きる不良対策、すなわち、不良品を解析(PCR検査など)し、その発生源を突き止めて再発を防ぎ、同時に不良品(重症患者)を治す(治療する)やり方である。ただ、あちこちで爆発的に感染拡大するコロナでは、感染拡大の動的現象を把握して、感染拡大を防ぐ対応策を探さなければならないため、医学的というよりも、都市封鎖のような社会の行動パターン制御の対策になる点で、純粋医学(疫学)的対策とは異質である。いわばマーケティングによって資源投入すべきところを探すのと同じであり、その動的現象把握は、物理学的にいうならば、統計力学のように動的に変化する(時間発展の)状態関数を把握することが重要である。不良対策(疫学)のアプローチとは異なる現象学的(統計力学的)のアプローチといえ、これが日本のコロナ対策には欠けている」と指摘された。そして、「ここで知るべき(状態関数)は、地域ごとの”感染者数/人口”の動態だが、全数検査は出来ないので、必要なのはランダム・サンプリングによる感染率の動態」であり、これが欧米はランダム・サンプリングに近いため、きれいなロジスティック曲線になる背景だろう。