ソニーの経営説明会~新コングロマリットで多様性を鍵にVUCA生き残り

 

5191640分過ぎから経営説明会がWEBで開催され、参加した。マスコミと投資家アナリスト共同。もともと、16時から予定だったが、ソニーファイナンシャルHDの完全子会社化のファイリングに時間がかかったため、というきちんとした説明があった。プレゼンは吉田社長、質疑は、十時氏、勝本氏が対応。質疑は、ソニーフィナンシャルの子会社、AC時代のあるべき姿、米中摩擦など。

 

 今回は、513日のコロナ影響の中での決算、更に、ここ数日の米中摩擦激化、そして、ソニーの経営の「かたち」や体制変革、ソニーフィナンシャルの完全子会社、マイクロソフトとの提携なども発表、盛りだくさんだったが、腑に落ち、スッキリした印象。ただし、米中摩擦や改正外為法の件はNAだった。

 

新しい形

 

 ソニーの新しい「かたち」は、現在のソニーを、ソニーグループとし、ソニーの商号は、祖業であるエレクトロニクスとなった。トップは、石塚氏。ソニーグループは、①事業ポートフォリオ管理とキャピタルアロケーション、②グループシナジーとインキュベーション、③イノベーション基盤の人と技術への投資等、とした。

 

ソニーフィナンシャル完全子会社

 

 ソニーフィナンシャル完全子会社(65%100%)は、①親子上場解消の上、少数持分控除無くなる上、税効果メリットで純利益に400~500億円のプラス、4000億円かけても自社株買いより投資家メリット大、②コロナ危機や米中摩擦など地政学リスクの中で、ソニーのポートフォリオ上、国内でバリューチェーン完結し、事業が安定しており、プラスも多い、③金融持株会社は他に例がなく、銀行保険で二重規制がありデメリットが多かった、④今後、AIやブロックチェーン等のフィンテックでシナジー効果、など、今日に於いては、納得いく。

 

事業ポートフォリオ

 

 ソニーの事業ポートフォリオを、「人」を軸に、「人の心を動かす」コンテンツ事業とD2C事業、 「人と人を繋ぐ」ブランデッドハードウェア事業と CMOS イメージセンサー事業、 「人を支える」車載センシング、メディカル、金融の各事業と整理した。

 

この事業ポートフォリオは、90年代あるいは2000年前半であれば、エレキセットと半導体、ゲーム、音楽、映画、金融は、バラバラの印象だったが、今、AC時代の向け、人をベースに考えると、いいバランスであり、シナジー効果もある。

 

経営重心的には、短い固有周期と大きい固有桁数で、意外と纏まっている(やや重心から遠いのが、医療、クルマ、局側の放送機器等)

 

コンテンツも、かつてなら、ゲーム、映画、音楽も重なりが少なかったが、これらは重なり合い、その真ん中にアニメもある。これらを支えるのは、リモートでも、リアリティとリアルタイムでの没入感を実現するXRAI5G、更にハプティック等の技術である。

 

方向性

 

各事業の進化の方向性は、ゲーム&ネットワークサービスにおいては、 2020 年年末商戦期に発売予定のPS5導入で、コントローラー進化による触感、3D オーディオによる音一体 が期待。ほぼ計画通り、外出禁止の中でプラスもあり、サブスクリプションモデルが成功、会員数も増加。音楽では、EMI Music Publishing の買収による音楽出版事業強化とストリーミング市場伸長で安定成長。タレントやアーティストをサポート。音楽、アニメ、キャラクタービジネスなどIPも期待。映画では、DTC サービス離陸、ただ、コロナ影響は、映画や劇場など懸念。今回、印象深いのは、アニメであり、日本のアニメを世界中に届けることにグループを挙げて貢献。なお、アニメのセグメントはなく、ゲーム&ネットワークサービス・音楽・映画の各セグメントに含まれる。エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションでは、AC時代に、リモートで人と人、人とモノをつなぐ意味で重要。

 

メディカル事業では、エレキ、メカトロニクスの技術を活かし、長期視点で 健康貢献。イメージング&センシングソリューションズは、不透明な中、すでに中計でCPAEXした7500億円の他、残り20%は注視だが、イメージングとセンシングでグローバル No.1。さらにクルマへ展開。

 

決算業績動向

 

 2019年度は、イメージセンサー好調で上振れそうだったが、コロナ影響が682億円、エレキのサプライチェーン(マレーシアやフィリピン等)と金融の評価損など。ゲームはプラス、音楽や映画は意外と小さかったが、タイムラグで映画は起きてくる。

 

 売上8.2兆円、OP8455億円、NP5822億円、全セグメントでCFプラスも立派。セグメント別には、ゲームと半導体、コンテンツの音楽と映画合計で、ほぼ、2400億円ずつとバランスが取れている。エレキはもはや900億円弱だが黒字。

 

 2020年度は、非開示だが、OP30%の可能性を示唆、ゲームや音楽、半導体は20%減、ただ、ゲームはサブスクリプションも多く、底堅そう。音楽がボラ高い。映画は半減、エレキは7割減もありうる。