今年のMOT1年生は、コロナ禍で、入学式もガイダンスもなく、5月からの授業もずっと、ZOOMであった。神楽坂での折角のビジネススクール社会人学生生活をENJOYできず、不憫でならない。これから良い方だけに向かうのなら、我慢してもらい、そのうちという考え方もあるが、秋冬の第二波があれば、最悪このままリアル授業を知らずに、同級生や2年生を直に見ないまま、終わる可能性すらある。もちろん、リスクはあるが、密を避けた教室配置など、できる限りの対策を講じて、リアルが必要な演習的な科目に限り、リアル授業を実施。また、既にリアルで行っているゼミ見学も認めた。
皆、一様に、リアルならでは、ライブの良さ、熱気、教員と学生の一体感、活気ある双方向にコミュニケーションを実体験でたようだ。
遠い将来を待たずに、リアル授業ができない日が来るかもしれない。教室などというものがあったのか、という時代が来るかもしれない。ただ、その時に向け必要なのはリアルの思い出だ。デジタルツイン同様、真のDXは、まずリアルを忠実に再現、その上で、改善できるところ、省略できるところを見つければよい。これは、絵画で、まずは写生から始め、そのうちに抽象画に移行するのと同様だ。長い時代で構築された文化や習慣、改良、進化の上で、リアルな現実がある。それを無視して、いきなり抽象化、デジタルにしても大切なものを見失ったり、ユーザーインターフェースに欠けたものになる。それゆえに、リアルを一度だけでも実体験してほしかった。梅雨間晴れ的な、わずか1日、数時間になっても、集中すれば、ダラダラと過ごす数年以上に思い出深い記憶として脳に焼き付けられるだろう。それは七夕か離れ離れの遠距離恋愛の短い逢瀬のように。
多くの1年生は、大学に来るのは面接入試以来なので、迷ったりする場合もあるだろう。それゆえに、また多くの思いを伝えるため、MOTがあるビルの1階で、金は18時過ぎから、土曜は8時過ぎから、30分程度の間、彼ら彼女らの初登校を、WELCOMEのプラカードを掲示して出迎えた。小学生の登校に校長先生が校門に立っているようなものだ。1人1人眼を見て、挨拶、声がけをした。
また、近く全面ZOOMに戻ることもあるだろうが、このリアル経験を忘れず、また、リアルで再開の日を待ってほしい。