東京都のコロナ陽性者は7月末に、400を突破し500人に迫る勢いだった。PCR検査数を増やし、まさかのタイミングでのGOTOキャンペーン等の要因もあるが、ロジスティック曲線ソルバー分析では、なお、曲線上で振幅しているイメージではある。
ここで、少し、7月までの状況を総括したい。
疫学や医学の専門家の中に、夏にはウイルスの影響が弱まると発言したのは、経験則的なものか、こうした気候条件からかは不明だ。政府のGOTOキャンペーン計画も、こうした「常識」が背景にあったのかもしれない。もちろん、反論もあった。インフルエンザが高温多湿に弱いからと言って、新型コロナが、同様とはわからない。紫外線の効果は、RNAウイルスの構造から、明らかであるし、最近の論文でも新型コロナを不活性化することは実証されている。ただし、もちろん、波長依存性やパワーもあり、夏に紫外線が多くなるからと言って、どの程度、肺炎死亡者数の減少に影響があるかは不明である。
気象の振り返り
そこで、まず、この6、7月の天候を振りかえると、7月は殆ど雨であり、日照時間も少なく、低温多湿だったような気がする。気象庁のデータでは、この7月の平均気温や湿度を、2016~2019年と比べると、昨年と同等、2017~2018年よりは、低い。湿度は、例年より、高めであった。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s3.php?%20prec_no=44&block_no=47662
紫外線
紫外線に関しては、UVインデックスが、最新が6月であり、例年と、ほぼ同様である。7月は不明だが、雨が多く、それほど高くないのではないか。
死亡者
次は、肝心の肺炎死亡者数である。これは、厚労省の人口動態統計だが、途中で、肺炎という表示は変えられ、連続性がない。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2020/02.html
死亡数は、例年、毎月10万人から14万人で推移し、ほぼ肺炎死者の傾向と同じである。人間は、冬に死者が増え、夏には減るようだ。最新データは、5月までだが、例年通りである。興味深いのは、離婚の減少であり、結婚はコロナの影響は分かるが、離婚は不明だ。
以上、気象データは、7月までの温度湿度は例年通り、紫外線は6月までしかなく、死亡者などのデータは、全体が5月まで、詳細は2月までであり、まだ、検証できない。
都内陽性者
東京都の8月2日までの陽性者は、下記グラフの通りで、新規陽性者数カーブの頂点あたりで、微妙なところである。
他方、陽性率は、7月31日時点で、6.5%であり、4月中旬に20~30%であった状況とは異なる。
東京都の陽性者は
累計の陽性者は1.3万人、6月以降が8000人である。6月までの5000人が、発症者中心であり、平均陽性率を20%とすると、潜在陽性者は2.5万人。6月以降を平均5%の陽性率とすると、潜在陽性者は16万人となる。発症率が10~20%と言われており、ここから推計すると、20万人弱が都内の潜在陽性者ではないか。
ウイルスの進化~感染経路が身近な場所に
もちろん、ウイルスが進化している可能性もあり、指摘されているように、感染力は強いが弱毒化しているのかもしれない。スマホアプリで毎日場所をチェックしているが、最近、個々にみると、普通のデパート(紳士服売り場)や、普通の喫茶店、などで感染がある。
感染拡大防止か経済かに欠けている視点
マスコミ報道では、疫学者中心の感染拡大防止論者と、PCR検査を徹底して経済を回すという論者が対立している。もちろん、後者であり、エピセンタを封鎖して、徹底すべきだが、ここは、カネを多くの業者にばらまくのではなく、医療機関やPCR検査などに、傾斜配分すべきだろう。