キオクシアが9月28日に上場延期を正式に発表した。既に日経ビジネスが9月27日に米中摩擦で業績悪化などが理由と報じている。https://www.kioxia.com/content/dam/kioxia-hd/jp/ja-jp/news/2020/20200928-1.pdf
上場申請時の目論見書記載価格3960円(2.1兆円)に対し、仮条件を2800~3500円(1.5~1.9兆円)と大きく引き下げたが、それでも需要が無かったという。日経新聞報道では、ヘッジファンド運用担当者は「2000~2500円が妥当なライン」と指摘しているようであり、時価総額は1.07~1.36兆円となる。
また、調達金額も上場申請時で850億円と中途半端だが、これが600~750億円、さらに400億円程度では意味がないだろう。
これまで、キオクシアの時価総額は市況の底では1兆円であり、2017年1月当時に、時価総額レンジは1~2兆円のレンジと指摘している。https://premium.toyokeizai.net/articles/-/14333
ファーウェイ問題や米中摩擦で市況悪化、業績悪化懸念、成長ストーリー描き直し
株式市場では、NAND市況の底を見ているが、今回厄介なのは、米中摩擦問題であり、ファーウェイだけでなく、多くの中国メーカーへの輸出規制となれば、影響は大きく長期化するため、市況悪化が構造的になるからだろう。
タイミングは、本来、米中やファーウェイ問題がなければ、市況の底という意味ではベストだが、この1か月で、米中摩擦の構造問題化長期化が顕在化、最もカオス状況になり、投資家もリスクを取れず、ワーストタイミングとなった。
株主は減損リスク
また、現在40%の株主の東芝や、ベインやファンドの背景にある株主も、2兆円程度想定であり、これが1兆円の時価総額となれば、流石に減損リスクが出てくる。
米中摩擦と政策
ここで、考えるべきは、米中摩擦と新たな中国対抗サプライチェーン構築である。米IT業界にとっても、キオクシアは重要なメモリの供給先であり、重要な先端技術になる。もし、米中が戦争状態になれば、中国にあるメモリ工場は使えず、さらに朝鮮半島もリスクに晒される。その場合、使えるメモリ拠点は、米のマイクロン工場(DRAM)を除けば、日本だけとなる。
国家安全保障・新サプライチェーン・ファンドを創設し複雑な株式関係を整理
そこで、在り得るのは、JICなどファンドである。