NTTがドコモを完全子会社化~新コングロマリット時代

NTTがドコモを完全子会社化した。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64352350Y0A920C2MM8000/

すでに、多くの報道が出ているが、背景は、①親子上場解消、②5Gに向けIOWN(無線と光通信)IoT対応強化、③米中摩擦の中で国際競争力強化、④スマホ値下げ対応、⑤スマホ3社の中でドコモの収益が伸び悩み対応等、当然の成り行きだろう。公正取引委員会も問題視していないようだ。

30年を経て、移動通信と有線ネットワークが再統合へ

ドコモが誕生した頃、当時、アナリストとして、通信機器メーカーを担当していたことあり、移動通信の将来像を議論すべく、大星社長(当時)と会っていた。未上場であり、ISDNとかが主流だったので、無線・移動通信は、それほど注目されておらず、アナリストとして付き合いがあったのは少なかっただろう。毎月の加入者が1000人とかいう程度で、そもそも、公衆電話もあるし、2000年の国内加入者は500万人でも強気すぎあり得ないとか言われた時代だ。世界でも北欧の普及率が5%程度で、英仏や米では、文化的な理由で普及しないという予想が多かった。

ドコモは、無線移動通信であり、交換機や伝送が主流で、ISDNが中心だったNTTの中では非主流で、出島として成長させようという狙いで、大星氏は電電公社風ではなく、起業家精神に溢れていた。NTTの中にあっては、成長するものも成長しない、という認識だろう。

30年前は、通信の技術が、有線と無線に分かれ、無線が移動通信と固定通信に分かれて、発展、有線の方は、デジタル化で、一体となってきたが、5Gでは、移動通信と光ファイバー網の一体化が不可欠である。かつて、富士通の名社長と言われた岡田氏がコンピュータと通信など、技術の変化を、崇徳院の名歌「瀬を早み 岩にせかるる 滝川のわれても末に 逢はむとぞ思ふ」を会見で引用たが、まさに、そうなりつつある。さらに、サービス等では、統合してこそ、意味がある。

今後は、クルマメーカーとも連携して、自動運転サービスを始めようし、電力会社と組んで、電力流通までやるかもしれない。

新コングロマリット時代へ

今後、国際競争力強化では、ファーウェイを考えても、強いICT会社が不可欠であり、独禁法や民営化で、バラバラにされたNTTファミリーは、他も再統合され、電電公社の復活もありえ、旧通研の復活、場合によっては、傘下の通信機器メーカーの統合もありえよう。

これは、新財閥、新コングロマリットの誕生であり、JRや電力、ネットワークで繋がる産業は、縦にも横にも再結合していくだろう。ウォーレンバフェットが日本に固有な総合商社に注目しているが、まさに、総合商社は財閥の名残であり、多くのポートフォリオを持つ。GAFAも、「選択と集中」と真逆で、財閥的であり、これが、令和の時代の趨勢だ。

 

令和は零和(ゼロサム)だと以前、記したが、まさに、ゼロサムの中で、再統合が始まる。一見、距離が遠そうな事業を、M&Aなどを通じて、いかに有機的に結合し、新たな価値を生み出していくかが、経営力となる。