選択と集中も、自由市場主義も、時代遅れ~経済常識の固有周期

人間は、自分の短い人生の体験や、その価値観をベースに判断しがちだ。それゆえ、新しい情報に接した場合も、老人は、長い人生の中で、過去と比較して判断し、若者は、トレンドを追い、新しいもの好きになる。アナリスト時代、将来の期待成長率なども、高度成長期を生きた先輩方は、10%が当たり前だったし、バブル崩壊後の後輩は、0%、あるいは、マイナスがベースであった。

最近、接する機会が多い、社会人学生、マスコミなど、4050歳は、90年代後半から、2000年以降の価値観がベースとなっているようであり、特に、経営経済分野で言えば、その常識とは、「選択と集中」、「自由市場主義(小さな政府)」である。確かに、この1020年はそうだったし、自身も、アナリスト、ヘッジファンド時代は、それを前提としていた。しかし、60年代後半から、80年代の「そうではない」時代、すなわち、米ソ冷戦、中国国交回復前、通産省主導が成功し、3公社などが民営化する前の常識や感覚も覚えている。

経済常識の固有周期

こうした経済での常識は、政治情勢や技術変化などの影響で、ある周期で変わるものだと認識している。いわば、経済常識の固有周期ともいえようか。

80年代半ばを境に、経済常識が変わった(法律や会計基準も)ように、まさに今は、そのような転換期であろう。故に、米中摩擦やコロナ禍、プラットフォーマの負の影響もあり、新コングロマリットや、ある程度の政府介入も当然だろう。実際、GAFAは、選択と集中の逆であり、祖業以外のM&Aで多角化している。