リチウムイオン電池の吉野氏 私の履歴書

毎年10月はノーベル賞の季節ゆえ、日経新聞の私の履歴書も科学者や技術者が多い。今回はリチウムイオン電池の旭化成名誉フェローの吉野氏であり、興味深く読んでおる。まさにこの90年前後、野村総研で技術調査部のリサーチャとして、モバイル機器の三種の神器キーデバイスであるフラッシュメモリ、液晶ディスプレイの後に、電池産業のリサーチをしており、記憶が蘇ってくる。

 当時は、もちろん開発中であったから、リチウムイオン電池はなく、まずは、普通の一次電池や二次電池でも、鉛電池やニッカド電池から調べ、トップだった松下電池などの工場見学の他、バッテリーの雄、三洋電機や東芝電池など訪問、AV機器やノートPC向けに二次電池市場は、それまでのクルマ用鉛電池から急拡大すると予測した。当時、その有力候補だったのがNiMH電池であった。リチウムイオン電池は、ソニーが取り組んでいるとの話は業界でも伝わっていたが、危険物質であり、実用が難しいとの話であった。