若者も、有名人になりたい欲求があり、また、有名人と近い関係であることを自慢したいようだ。これは、ネットワーク理論の巨星バラバシが、「ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした『成功の普遍的法則』」でも、明らかにされた通りであり、IT&DXの今日では、一層、重要になっているのかもしれない。実際、ブログやSNS等のフォロワー数自体が、その人間の価値になっている。これは、ある種の数学者が、エルデシュ数を自慢するようなものだ。
インフルエンサーのピラミッドでは、トップインフルエンサーは、100万人級フォロワーで、TVでお馴染みの芸能人、数万~数10万人級はミドルインフルエンサーで、専門メディアでファンを抱える人間、その下にマイクロインフルエンサー/ライトインフルエンサーが1万人程度フォロワー、その下に一般ユーザーやナノインフルエンサーがいる。
そこで、縦軸に「専門分野で知る人ぞ知る」尺度、横軸に「TV等メディアでの有名度合」をとって考察すると面白い。自然科学の研究者の場合、実績をあげると、学会では著名になるが、一般人には無名だろう。しかしノーベル賞などをとった途端、世界的有名人になる。ノーベル賞以外にも、同等以上の受賞者など実績のある方も多いが、そうした賞自身が有名でないため、そこまで大衆には知られない方も多い。社会科学系は、マスコミの多くが文系であることもあり、その専門分野での著名度と一般の有名度が比例する場合もある(緑色)。有名企業の経営者や、エコノミストやアナリスト等の場合も、機関投資家など金融関係だけでなく、株式市場を通じて一般に有名になる場合もあるだろう。最近は、まだまだ専門分野で実績を高めるのに、TV出演を通じ芸能人化(とても、あれほどTVに出ていて研究教育をする時間があるとは思えない)、有名度を利用、そこから更に政治家を目指す場合もあるかもしれない(茶色)。逆に、芸能人からアカデミックや経営を目指す場合もある(紫色)。もちろん、普通の芸能人は、普通は横軸をまっしぐらだろうか。
自然科学でも、素晴らしい実績が出ているのに、権威主義的あるいは古臭い徒弟制度主義のため、認められず、目利き能力がないため、研究資金が得られない場合は、マスコミを利用することもあるだろう。ましてや社会科学では尚更だろう。狭い了見の専門家より、一般大衆の方が見る目がある場合もあるだろう(縦割り専門分野の間に落ちる場合もある)。
今後は、上と右をジグザグしながら、有名になるのもありかもしれない。