新市場区分と親子上場とMBO問題

今後の産業界と株式市場を考える上で、2022年に、重要な点は、新市場区分と親子上場、MBO問題であろう。

まず、新市場区分だが、111日に、東証が新市場区分を発表、市場1部の2183社、市場2部の470社、JASDAQ693社、マザーズ397社は、プライム、スタンダード、グロースに再編される。多くの会社がプライムになるが、流動株式時価総額100億円以上、株主数800人以上、直近2年間の利益25億円、売上100億円以上、などの基準があり、未達企業も600社程度ある。基準未達だがプライム上場表明をし、フォロー歴あり企業では、本多通信、岩崎電気、三信電気、サクサHD、チノー、等がある。原田工業、I/Oデータ、UMCエレクトロニクス、共和電業、小野測器、ナカヨ、池上通信、等は基準以下である。スタンダードを選択した企業も100社以上あり、フォロー歴あり企業では、住友精密、星和電機、日本電子材料、などがある。他方、東証1部以外で、プライム基準を満たす企業もあり、フォローしているフルヤ金属の他、かつて担当していた、フクダ電子、フェローテック、芝浦電子、などがある。

次に、親子上場問題だが、日立は御三家に加え、日立建機も伊藤忠買収報道もあり、解消に向かう。あとは、東芝とテック、NECと日本航空電子、富士通と新光電気、キヤノンとキャノンマーケティング、キヤノン電子がある。意外と知られていないかもしれないが、住友電工と日新電機、セコムと能美防災、東ソーとオルガノ、もそうである。

この新市場区分と親子上場の解消の問題から、2022年は一層の再編が進むのではないか。プライムに移行できない会社や、親子上場子会社は、完全統合、その他のMBO、他社へ売却が進むのではないか。同業のライバルや、サプライチェーンを埋めるなどもあろう。

そこで、第三のMBOだが、直近の片倉工業はじめ、失敗事例が多いようだ。企業価値評価の妥当性でアクテビティトがケチをつけるようだ。相次ぐMBO失敗、誰のせい?: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

それ以外にも、非上場化となると、モチベーション低下や知名度ダウンもあり、それが事業に影響を及ぼす場合もある。親子上場問題は、小数株主問題などガバナンスが問題になりがちだというのが本質であり、親子上場解消ありきではない。その意味では、ガバナンスをしっかりした上で、明確な経営指針に基づいた上での親子上場もありうるだろう。それは新市場区分の中で、あえてプライムを選ばないのと同じだろう。