教授と教師

 大学教授になって6年、大学院の技術経営専攻の専攻長、主任教授として、8名の採用人事にも関係してきた。そこで改めて、教授と教師について、考えてみたい。

学校教育法92条では、教授を必置の職とし,その資格・職務を「専攻分野について,教育上,研究上又は実務上の特に優れた知識,能力及び実績を有する者であつて,学生を教授し,その研究を指導し,又は研究に従事する」と規定している。

 他方、教師とは、日本では、各教科の指導要領[1]があって、その指示に基づいて授業を展開し、生徒の知的成長を評価するということである。正確には初等中等教育では教諭が正式名称である。

逆説的にいえば、研究をしていない大学の教員は、教授にはなり得ない、ということになる。

最近、ビジネススクールはおろか、研究大学院でも、研究をしていない、学会発表もない「教授」がいる。また、ビジネススクールのカリキュラムを標準化する動きもあるが、これは、大学とは言えないのではないか。社会人学生対象のMOTでも、教員自らが研究する姿勢を見せることが不可欠だ。

 



[1] 大学のカリキュラムには、指導要領はなく、その代りに、教員の判断により「シラバス」が書かれ、学生との「契約」のもとに受講が成り立つ。もちろん、学科や専攻として、三つのポリシー、すなわち、「ディプロマ・ポリシー」,「カリキュラム・ポリシー」,「アドミッション・ポリシー」の中で、カリキュラムは作成される。この自由度が差である。