ソニー~プラットフォーム型の条件

ソニーと東芝を比較して、ソニーがプラットフォーム型へ移行したことについて、経済教室に寄稿した「段階に応じて『変態』せよ 日本企業再生は可能か」にも関心を頂いた日経新聞中山氏が「Deep Insight」引用した。複利の成長めざすソニー 東芝と分けた明暗の法則: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 これに関連して、経営重心の視点から、なぜ、プラットフォーム型シフトや複利成長が可能になったか考察したい。

まず、経営重心で比較すると、ソニーは、ジャパンストライクゾーンの右上であり、はみ出している。ゲームや映画音楽は、いわば、「水もの」でありサイクルは短い。その意味では、CMOSイメージセンサも含め、半導体事業との距離は近い。これに対して、東芝はジャパンストライクゾーンの右上にはみ出していたメモリや、左下から大きくはみ出していた原子力を外だししてからは、ジャパンストライクゾーンの左下に分布しているが、今回、昇降機や空調を外に出せば、一層、その傾向が強くなる。

実際、ソニーの人財は、アジャイルであり、人員の流動性も高い。平均在職年数は、16年であり、同じ家電のパナソニックやシャープが23年、東芝の19年と比べて、短い。もちろん、平均在職年数はリストラや事業再編の影響もあるが、固有周期が短いことの証左である。日本は定年の5560歳まで多数が勤め上げることを考えると、この年数の差はかなり大きい。仮に2225歳で就職して、半数が定年まで在職するとする(半数のピークが55)と、16年なら(40)、これを除いたピークは25歳、23(47)なら、同様に39歳である。ソニーは、出戻りOKであり、中途入社も多いが、この流動性が短い固有周期の事業を支えているともいえるだろう。

 

 経営重心の固有周期が10年ということは、10年に1度の回転であり、その分、価格は高い(システム規模は大きいが数量は小さい)1年は1年に1回である。小売や金融では、固有周期は1年以下であり、回転は速くなる。サブスクリプションモデルとは、数年に1回のビジネスを、単価を抑え、1年に数回(毎月もあるだろう)と、回数を増やして、売上を安定することに鍵がある。それゆえ、プラットフォーム型になり、その上で顧客を増やして回転を上げれば、スケールしやすくなり、結果的に複利になるのである。