軍事問題は専門外だが、ロシアのウクライナ侵攻に関し、経済や半導体政策にも影響するので、あえてコメントをしたい。
思えば、日清日露戦争の昔は、正規軍同士による決戦だった。陸軍と陸軍、海軍と海軍、石原莞爾流にいうなら、2次元の戦争であり、ある種、武士道や騎士道のルールもあった。
第一次世界大戦は、飛行機や潜水艦が登場、3次元となり、サプライチェーンを攻撃するようになり、毒ガスも登場、ある種、「卑怯」なやり方となった。日本は、参戦したが、本格的な経験はなく、戦争の様相が変わったことを十分に認識せず、日清日露戦争の勝利の延長線で、陸軍は歩兵の突撃、海軍は大艦巨砲主義での艦隊決戦のイメージを脱せなかった。
第二次世界大戦では、真珠湾では空母を集団的に使い、空から艦隊を攻撃するという成功はあったが、その経験を生かせず、艦隊決戦の認識のもと、潜水艦も有効に使えなかった。サプライチェーン軽視で、餓死者が出た。軍隊同士でなく、空爆で一般市民を虐殺するという、正規軍が民間を攻撃するという状況になった。これは、中国戦線では、ゲリラとの戦いとなり、決戦はなくなった。決定的だったのは、原爆であったが、これが戦後の核競争となった。
戦後は、朝鮮戦争は、第二次世界大戦の米軍の太平洋の諸島を攻めた成功パターンであったが、ベトナム戦争では、もはや正規軍同士でなく、ゲリラとの戦いであり、核も使えない非対称戦となった。
第一次湾岸戦争では、米の電子戦能力で、圧倒的な勝利に見えたが、ゲリラやテロとの戦いは続き、もはや、正規軍同士の決戦はない、泥沼の非対称戦である。米は、太平洋戦争の勝ちパターンから脱せず、ベトナム戦争の教訓もなく、第二次湾岸戦争も、一見、勝利に見えたが、ずるずるとテロとの戦いを続け、ベトナム戦争と同様にアフガン戦争は撤退となった。