半導体市況その後

サプライチェーン混乱とリードタイム長期化が、需給ギャップと認識ギャップを生んでいるが、台湾等からは慎重な声も聞こえている。

DRAMと汎用MCUとパネルは厳しい

 メモリ、特にDRAMは下落が続き、Nanya Technology李培瑛・総経理(社長)は2022623日、22CY3Q市況が予想よりも悪く、DRAM価格も下落が続き、市況好転は最速でも23年になるとコメント。韓国では、2110月以降、増加傾向を見せていたチップ在庫が5月には、前年同月比53.4%増と過去4年で最悪のピッチで増えた。

汎用MCUは、顧客と流通在庫増で、価格3月比で55%と暴落、コンシューマ向け需要低迷が顕在化している。STマイクロ、インフィニオン、TI等のIDM世界大手がそろって値下げに踏み切った。ただ、ハイエンドはサーバー向けなど堅調という。

パネルはTVもスマホも厳しい状況であり、パネル価格は急落、変動費割れも近く、中国メーカーも減産など、かつてない低稼働となっている。

二極化する台湾テックの見方

TSMCAUOYageoMediaTekAcerLarganAcctonの台湾テック大手7社の董事長をはじめとする経営幹部が、今年の株主総会で言及した景気見通し分析記事によると、半導体不足や5G推進を背景にファウンドリやネットワーク通信機器業者の董事長が景気先行きに引き続き楽観的な見方を抱えている一方、ノートPC、パネル関係の董事長等が慎重な姿勢を見せたようだ。AUO彭双浪・董事長とAcer陳俊聖・董事長は「市況は既に、かつてのような好調な状況ではない」、「ノートPCは既に供給過剰の状態」と景気低迷に対する危機感を吐露。

ロシアウクライナ戦争の影響で、B2C需要が大きく後退、中国電力価格引き上げで大挙して東欧に拠点を移した仮想通貨マイニング業者も大打撃を受け、LED業者はロシア植物工場向け出荷が途絶える等、影響が広範に及んでいるようだ。台湾サプライチェーンは「景気は22年、総体的には上半期も冷え込み、下半期も冷え込むという状況。サプライチェーンの業績を支えるのが、今年は自動車、ネットワーク通信機器、サーバーしかない」との認識のようだ。

世界のマーケット下落率上位は仮想通貨と半導体SOX指数

 

日経報道によると、46月期の世界のマーケットは各国金融引締めと景気不安に揺れ、金融緩和に沸いたマネーが逆回転し。特にリスクの高い暗号資産(仮想通貨)は急落し、半導体株なども大きく下げた、という。仮想通貨や半導体株が急落 「コロナバブル」逆回転: 日本経済新聞 (nikkei.com)