安部前総理の死と金融政策

VUCAの時代といっても、今回の安部前総理暗殺事件は、驚愕衝撃的だった。226事件、515事件を思い起こし、コロナ、ロシアウクライナ、さらに暗黒の時代に突入するのかと溜息が出る。残念なことに、模倣犯が出れば、公安強化になり、他方で、政治主導の思い切った長期政策が難しくなる。

 参議院選挙は、インフレや円安はあるが、コロナも一段落、ロシアウクライナで多くの国民も国家安全保障に目覚め、自民党の大勝利、安定政権の中で、安部悲願の憲法改正もありうるのではないか、と考えていた。また、アベノミクスの継続性から、日銀でもポスト黒田も、急激な方針転換はないと見ていた。さらに、官邸での安倍氏の威光での体制もすぐには変わらないと想定していた。

 これが、安倍亡きあと、どうなるかが、極めて重要である。選挙戦での大物政治家の死については、かつての大平総理弔い合戦を思い起こし、自民党にはプラスであろう。ただ、安部派がどなるかは不明だが、岸田総理の求心力は強まる可能性があるだろう。ただ、憲法改正までやるかどうかは、不透明になった。

 

 安部氏は海外で、トランプやプーチンも含め、友好関係があり、ロシア、中国、北朝鮮などとのパイプは弱まる可能性があり、東西陣営に分かれやすくなる。この10年程度の世界を動かしたリーダーの中で、メルケルは引退、トランプはなく、ジョンソンも辞任、習近平やプーチンは西側では孤立、その中で、安部氏は、唯一の東西を結び付けられる政治家であったかもしれない。間違いなく、日本は西側色を強くし、米との関係が強化、その中で、防衛強化だが、憲法改正については米次第か。