日米での上場・ガバナンス差

過去、何十年も、上場することが、成長にもガバナンスにもプラスであることは、株式市場関係者だけでなく、暗黙の了解であった。しかしながら、地政学リスク、国家安全保障が重視され、また、過度な市場資本主義に対する見直しの中で、よく考える必要がある。

 経済教室では、東工大の井上光太郎教授、木村遥介助教が、日米の上場企業数と1社当たり時価総額を比較、日本は、上場会社数は増えても時価総額は小さく成長せず、米は、上場会社数は減り、M&Aも含め時価総額は増え成長している点を指摘、中小型株市場活性化がガバナンス改革の焦点であり、投資家対話による活発なM&A促進を説いている。成長につながる規律 必須 企業統治の論点: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 しかし、ここでの論点では、国家安全保障の視点や、従来から指摘している、投資家と産業とりわけハイテクものづくり企業の固有周期の差異についての視点が欠けている。後者については、ITなどの固有周期が短い産業は、上場後、M&Aとポートフォリオ入替が有効だが、固有周期が長いエネルギーや材料系は、難しい。