実務に長けた経営者や技術者には、常識だろうが、新規事業/起業であれ、プロジェクトであれ、最初に目指すべきは、明らかな顧客がいる商品向けの特別解であろう。スペックや技術の方向性も、具体的な顧客を意識して、決めるべきである。
それが、NEDO等の国家プロジェクトでは、市場動向の最初に、Society 5.0が出てきて、あれやこれやと技術の応用分野を広く掲げ、市場規模が大きいことを強調、そこの数%のシェアを取り、事業規模の予測があり、それに向けてロードマップが示されるのが通例だ。
これは、市場規模が大きく応用分野が広い方が、テーマが採択され易く、社内でも認められ易いからだろうか。そのせいか、MOTでの新規事業などの科目の演習でも、そうした傾向が多い。しかし、実際に、どういう顧客を想定しているか、市場規模を単価と数量に分けると、しどろもどろになる場合が多い。
実際は、何でも使えそうな技術は、何でも使えない場合が多い。つまり、一般解は実は存在しないのだ。論文や教科書では、まず、一般解があり、特別解が示されるが、そうではなく、まず特別解であり、そこで、一般解を意識して、別の特別解へ展開するのだろう。そうした多数の特別解が登場して、それらが、ある普及段階で標準化され、一般解らしくなるか、元々、特別解だった市場が、広く普及して一般解化する、どちらかだろう。汎用AIがなかなか難しいのも、汎用経営学が成り立たない場合が多いのも同様だろう。先端ロジックも、同様であり、一般論で議論してもしようがない。