日本のディスプレイ産業の8年~シャープとJDIの行末

シャープは、511日、JDI(ジャパンディスプレイ)は、512日に、それぞれ、2022年度の決算を発表した。

シャープは、2015年度以降6年ぶりOP以下赤字、OP257億円(ディスプレイ部門のみ664億円の赤字)NP2608億円赤字(SDP減損1884億円)だ。堺工場がベースのSDPはテリーゴーの投資会社となったが、20226月にディスプレイ市況が最悪で工場が低稼働率のタイミングで、シャープが買い戻すことになったことが問題視されている。

JDIは上場後、OPこそ、2014年度と2015年度は若干の黒字だったが、NPは、万年赤字、2016年度以降はOPも赤字である。トップも数年毎に代り、2020年から、いちごトラストの傘下となり、現在のキャロン氏がトップとなった。当初は1兆円を目指していたが、売上は1/4水準であり、リストラ、減損続く。関連会社だったJOLEDも破綻した。eLeap等の新市場は期待したいが、これからだ。

2014-2015年頃は、経営不振のシャープを巡って、鴻海とINCJが経営権を争い、INCJは、シャープのディスプレイ部門をJDIに統合させ、そこに、産業再編資金を投入しようと画策しているようだったが、鴻海が経営権を勝ち取った。鴻海は、噂されていた工場や人員のリストラはせず、生産や調達のスケールメリットを生かし、2016年度には黒字化、OP1000億円規模が可能になった。テリーゴーは、シャープのIGZO等の液晶技術、さらにはOLED技術の可能性に期待し、アップルへのサプライチェーン入りを目論んでいたが、台湾のAUO等に比べ、液晶技術は高いものではなく、液晶からOLEDへの移行が想定より早かった。これは、JDIも、同様であり、液晶技術の優位性を発揮することなく、OLED化も遅れた。

そもそも、半導体と異なり、ディスプレイは価格弾力性効果が小さく、スマホでも、PCでも、何枚も使うわけではなく、面積拡大も限りがあり、キャプティブでなければ、難しい。