経営学分析でも、相関関係と因果関係の区別を意識することは重要だ。数値で相関性が高くても、交絡因子があれば疑似相関があるからであるが、交絡因子を特定することは、容易でなく、RCT(ランダム化比較試験)などコストがかかる手法が必要となる。しかし、近年、因果推論という手法が提唱された。2019年のノーベル経済学賞には、貧困問題の解決にデュフロ教授らが選ばれたこともあり、RCT、フィールド実験、因果推論という「因果関係を抽出できる分析手法」がデータ経済の中で注目を浴びている。
ここで、興味深いのは、ジューデォア・パール著「因果推論の科学」であり、驚いた。因果ダイヤグラムを導入、コライダーを使い表現する。パスブロッキング、バックドア調整、フロントドア調整、操作変数、do計算法などのツールによる介入、さらに反事実、媒介などにより、交絡因子を取り除け、因果関係を数学的に導出できる。モンティホールやシンプソンのパラドックスも明快に分かる。