リスクを取るのは国家か企業か~キオクシアもRapidusも

赤字で財務基盤が厳しいキオクシアがシリコンサイクルの底に投資する。経産省やメインバンク等も支援する。画期的な話だ。キオクシアが最先端半導体に7200億円投資 経産省も補助 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

シリコンサイクルの底に投資するのは理性的で当然だが、シリコンサイクルの底は赤字であり、そこにジレンマがあった。底で赤字にもかかわらず投資した会社がシェアをあげてきた。80年代の東芝等日本企業がそうであり、最近ではオーナー系のサムスンがそうだ。大相撲の大関昇進、上場審査や銀行融資も過去を基準に決め、時間がかかるので、シリコンサイクルの山で投資、工場稼働はシリコンサイクル下り坂である。愚者は直線のグラフしかイメージがなく、株でも、ピークで投資して失敗し、ボトムで損切して失敗する。シリコンサイクルは34年、過去何十年も繰り返され、半導体もメモリもシリコンサイクルを超えて成長してきた。しかし、勇気が無いのか、理性的で無いのか、愚かなルールの問題か、シリコンサイクルの底では投資できなかったのである。CF経営理論などMBA仕込みの教えも助長した。

 今回、実はもう一つの大きな議論がある、それはリスクを取るのは企業か国家か、である。当然ながら、リスク許容度は国家が大きい。企業規模が小さく、単一事業はリスクが大きく難しく、企業規模が大きく、コングロマリットの方がリスクを取れる。しかし、これまでは、国家はイノベーションや産業に関しては、リスクを避けてきた(実は年金や金融緩和その他では大きなリスクをゆっくり目立たず取っているのだが)