経済でも経営でも、実態把握が困難になっている大きな理由は、無形資産の存在増大にもかかわらず、それに政治や企業が適切に対応していないからである。見えざる資産、モノからコトへ等も同様である。「無形資産経済見えてきた5つの壁」(ジョナサン・ハスケル、スティアン・ウェストレイク著2023.7東洋経済)は21世紀経済が①停滞②格差③競争不全④脆弱性⑤正当性欠如の5つの壁が無形資産経済に対応していないからであると説いた上で、アカデミア、金融、都市などからの視点から改善点を提案している。無形資産経済 見えてきた5つの壁 | ジョナサン・ハスケル, スティアン・ウェストレイク, 山形 浩生 |本 | 通販 | Amazon
日経新聞2024年10月24日の経済教室で元内閣府事務次官松山氏は「無形資産への投資、政策や経営の判断基準に」で、「無形資産への投資低迷は長期停滞の要因、ウェルビーイング向上を目標に投資促せ、全体像把握へ無形投資の統計整備を急げ」と論じている。無形資産は有形資産に比べ①投資の利益が周囲や社会に広く波及する外部経済効果(スピルオーバー、スケラビリティ)、②所有権が不明でステークホルダー関係が複雑、③不確実性が高い等の特徴から、社会的価値を生むが、効果が見えにくく統計整備が必要と指摘している。無形資産への投資、政策や経営の判断基準に 松山健士氏 元内閣府事務次官 - 日本経済新聞
実際、そもそも、無形資産、見えざる価値、コト価値などのウェイトが、マクロ経済、産業界、製品といったレベルで、どの位なのかの先行研究は少なく、小生が研究イノベーション学会で発表した研究がある程度である。kouen38_208.pdf 一般社団法人 研究・イノベーション学会 | 年次学術大会
直近の学会では、価値をテック、マネジメント、ビジョナリーに分けたが、無形資産どころか、単位で計測しにくい価値(テック価値以外)は1/3以上はある。テック価値も、無形資産は多い。
特に、これから急ぐべきは、無形資産が多い企業への資金調達である。