小学生の頃は、それなりに歴史も好きであったが、高校で全く嫌いになったことも理系に行った理由である。数学や物理は、それなりにロジックがあり「何故か」に答えてくれ、腑に落ちる。学問別の異なる考え方はあるが慣れれば一貫しており、そういう考え方、ロジックを学ぶのも重要である。
それが歴史は年号などの暗記であり、あまりに雑多に覚えることが多い上、「何故」に答えてくれない場合は多すぎる。平和な時代、戦争の時代、景気動向、貧富の格差なども、理由を考えれば考えるほど、矛盾だらけであり、結果、受験に出るから丸暗記ということになる。会社に入り、経済学や経営学も学び、実社会で向きあえば、過去の歴史は、経済経営、特に金融の切り口で説明すると、理由が腑に落ちることが多い。平家の滅亡、戦国時代、江戸幕府の衰退、明治からも概ねそうだ。大国との戦争も、ロシアには勝ち、米には負けたのも金融、資金調達である。それが丸暗記では皆、社会科嫌いになり、どんどん教養も無くなっていく。歴史あるいは過去に学ぶどころか歴史嫌いを作り、過去に学べない国民が増える。
「経済で読み解く日本史(上念司2020年飛鳥新社」は、そういう切り口で書かれ、腑に落ちる名著である。