カテゴリ:2015年7~9月



30日 9月 2015
29日16時よりNEC本社で会社主催のパブリック事業の説明会があった。出席者は西村常務と中俣氏、昨年3月に説明会があったが、そのレビューでもある。説明は簡潔に20分程度であり、質疑が40分程度であった。 西村氏のプレゼンの要旨...
29日 9月 2015
統計の危機に関連して、SIRIJが2016年3月に終息、JEITA半導体部会も大変だということを書いた(http://www.circle-cross.com/2015/09/13/2015年9月11日-エコノミスト達は統計の現場をチェックしているか-統計の危機/)。これらの業界団体のトップと面談する機会を得て、半導体業界団体の再編、同様に2016年5月に終息する産学プロジェクトのSTARCや、EUVプロジェクトのEIDECなどについても状況を確認できた。また、同時に、米SIAや、SEMATECHの状況、中国の覇権など韓国台湾の立ち位置、日本の対応、関連してEUVや450mmの将来についても議論できたので報告したい。  まず、背景としては、国内でも総合電機中心の90年代と異なり業界再編が進む中で、各社の負担が重くなってきたことや、グローバル化の進展と日本の競争力低下の中でッ貿易摩擦等もなくなり、21世紀型のIOT時代に相応しい業界団体に再編することが企業側からも出てきて、昨年当りから、動きがあったようだ。半導体業界団体としては、①JEITAやSIRIJなどの政策提言や国際対応、標準化などの活動と、②STARCやEIDEC等の産学連携プロジェクトがあるが、①はJEITA半導体部会に集約、②はデバイス技術のプラットフォーム開発センターに、集約するようだ。経産省でも、各関係部署が理解を示しているようだ。現時点では進行中であり対外正式発表はしてないが大枠が決まる年明けには発表されそうである。 JEITA半導体部会がJ-SIAとして日本の半導体の顔  JEITA半導体部会は、SIRIJと共に、政策提言、広報、国際対応(通商・知財)、環境省エネ、技術ロードマップ、標準化など多くのことをやってきたが、JEITA半導体部会に集約、米国のSIAと、J-SIA(世界に6極)として連携もしながら、国際対応など日本の半導体産業の顔としてやっていく。ただ、これまでのように何でもかんでもではなく、環境省エネ、ロードマップなどはやらないようだ。また、総合電機というよりは、半導体をやっている会社が、広がっており、電子部品デバイスにも対象を広げる。SIRIJは既に清算に入っており、2016年3月に終息する。 なお、ITRSロードマップについては、微細化の重要性が変わりムーアの法則も変化する中で、日本だけでなく海外からも見直す動きもあり、ITRS2.0としてIOTなどアプリよりのロードマップになる可能性もあるようだ。 産学連携プロジェクト  産学連携や教育技術を担ってきたSTARCは、グローバル化・オープンイノベーションの中で、統合すべき機能や終息すべき機能、メンバーシップの変化やコストなど運営面の問題も考慮し、発展的に解消、新たに、受け皿の会社をつくるようだ。研究開発、企画管理、推進、異業種アプリ連携が役割だが、中身やメンバーは大きく変わる。これまでのSTARCは、どちらかというとプロセス技術、ハード寄り、電機メーカー中心だったが、IOTのシステム側からのアプローチを重視する。東芝やローム等の半導体メーカーに加え、SIerや電子部品、モジュールメーカー、SPEや材料などが加わる。 その中では、CPS(Cyber Physical System)推進プロジェクトがあり(既にJEITA内で推進協議会として発足)、IOT時代のセンサーや新メモリなど、IOTをハードから支える。CPSとは要は、米のIOTプロジェクト、欧のインダストリ4.0と同じである。既に10社程度参画、予算もかなりつくようだ。  EIDECは、EUVの開発というよりは、ナノ汚染の研究開発に取り組む会社になりそうである。 米国でも業界団体に変化  業界団体が大きく変わっているのは米国でも同様だ。SIAといえば日米摩擦でタフな相手だという印象だけが強いが拠点がシリコンバレーからワシントンに移った。http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91698410U5A910C1000000/ 半導体のチャイナチャレンジでSIAの仮想敵は日本から中国となっており、より政治との緊密な連携が必要なのだろう。
29日 9月 2015
総合電機について2015年版ができたので、ドメイン広さと収益性、固有周期と収益性の相関を分析してみた。 広さと収益性 ドメイン広さは、各社毎に見ると、相関の傾向があるように見える。ただ富士通はあまり関係がない。下記グラフでは、相関性が解りやすいように広さの軸を上下逆転させている(いわば狭さ)。...
28日 9月 2015
Nittoの東京オフィスがIRも含め、大崎から品川の港南に引っ越したので、挨拶もかね、足元の状況と先日の新型磁石の件も確認するため、訪問した。駅からは、ちょっと歩き、右手にソニービルを見て、そびえ立つビルの26階にある。その窓からは眼下に品川からのレールと列車が見え、その先に、東京タワーやスカイツリーも見えカメラや鉄道好きには好立地である。まもなく、イノベーションセンターもできる予定である。 さて、1Q決算の後のコメントでは、http://www.circle-cross.com/2015/08/09/2015年8月8日-日東電工-収益の多様化とnittoらしさ/ にあるように、「テープやM&M部門は好調だが、主力のオプティクスが液晶市況の悪化で苦しく、全体の営業利益(以下OP)は、会社計画をやや下回り、上期500億円、年間で1100億円程度、スマホやTVの調整が短期で終われば計画の1200億円は可能だが、調整が長引けば減益となる1000億円もありうる」とコメントしたが、実態は、少なくとも、上期は十分に強そうである。下期については、不透明感はあるが、上期の貯金やテープやM&Mの上ブレで十分に達成できそうであり、同社の底力を感じた。 上期までは堅調 テープ部門については、収益強化策が浸透し、安定的に二桁利益率、OP350億円はいけそうであり、M&MもOP50-60億円は可能そうであり、見方は共有できる。 プリント回路は不振でやはり売上は未達のようだが、収益性が高く利益はそれほど落ちないようであり、プロセス部門も同様に、それほど落ちない。両方とも、情報機能材料部門より、驚くべきことに、まだ収益性は高そうだ。 情報機能材料は、1Qは売上994億円、TV偏光膜340億円、スマホ偏光420億円、タブレット等偏光120億円、ITO120億円と推測する。また同部門のOPは、TVがハイエンド大型向けに単価維持だが収益性はやや悪化、ITOも低下傾向だが、スマホが新製品効果もあり、130億円はあるだろう。2QはTV横ばい330億円、スマホ450億円、タブレットは新製品効果で140億円、ITOも同じく、その恩恵で140億円、いずれも収益性が改善、部門全体ではOP140億円はいくのではないか。 ゆえに上期はオプト全体では380億円も可能、テープが150億円、M&Mが30億強、全社消去をどう見るかだが、全社では計画520億円を上回る550億円はいくだろう。 問題は下期であり、上記550億円から引くと、650億円、やはり、スマホと円安次第だろうが、Q/Qで、3Qは横ばい、4Qは減益だろう。年間では、1100~1200億円のレンジだろう。ただ、オプト一歩足から、テープやM&Mに収益源が多様化していることは望ましい。 Nittoの経営重心 同社の経営重心分析は緒に就いたところだが、テープゆえに工夫が必要である。基本的にはユーザーのサイクルと、TVであれ、スマホであれ、台数の2倍になり、あるいは複数のフィルムを重ねるので、数倍になり、さらに、産業テープは更に桁数が上だろう。
27日 9月 2015
昭和11~12年は、戦前の日本の頂点であり転換点でもあった。昭和11年は、2.26事件や軍縮脱退など暗いニュースの年と記憶されるが、東京五輪がIOCで決定された年でもあり、東洋経済の会社四季報が創刊された年だ。翌年の昭和12年は、戦前での一人当たりGDPがピークであり(戦後この水準を超えたのは昭和32年)、文化勲章が制定され長岡半太郎らに授与されたのも同年だ。他方、日中戦争が勃発し、満州なら中国の田舎だからまだしも北支への進行は世界の注目を浴びて取り返しがつかなくなった、と当時の軍人でさえ回想していたようだ。「昭和の迷走」(多田井喜生) 昭和15年と平成32年  昭和15年と平成32年を並べて、振り返ると、今年、五輪を5年後に控えた平成27年は昭和10年となり、多少、1-2年のずれはあるが、何やら不気味な類似性があって怖い気もするが気にしすぎだろう。昭和15年は東京五輪が戦争で中止となり、その代わりに紀元2600年の記念式典の大騒ぎがあった。その翌年が太平洋戦争である。昭和39年の翌年も山一危機など不況であった。平成32年の翌年も油断はできない。 昭和15年と平成32年を基点に 振り返る                      昭和9年  治安維持法 関東軍、三陸大地震  平成23年 東北大地震 平成25年 東京五輪IOC決定 昭和10年 言論統制(天皇機関説)相沢事件  平成27年 安保法案 昭和11年 2.26事件,軍縮脱退, 東京五輪IOC決定   平成28年 マイナンバー 昭和12年 盧溝橋事件,産業統制化      平成29年 ヒラリー?(反日、親中) 昭和15年 東京五輪予定,紀元2600年     平成32年 東京五輪  昭和16年 日米開戦             平成33年 不況? 昭和20年 敗戦               平成37年  ??            そういう意味で、昭和12年は興味深い年であり、四季報刊行後1年位、戦前の一人当たりGDPピークの年の電機メーカーあるいは日本の企業や産業がどうであったかは、以前から関心があったが、東洋経済の記者の御蔭で、会社四季報アーカイブで一端を見ることができる。http://shikiho.jp/tk/archive/ 四季報は昭和11年刊行  当時、株屋のための会社四季報なんぞ、という社内の向きもあったらしいが、モノ好きがいて、しかも2.26事件の年に刊行、昭和19年まで続け、戦後も昭和21年に復活していることには、心から敬意を表したい。同時に、こうした戦前の貴重な紙の書類をいちいちPDF化してアーカイブとして提供していることにも感謝したい。 昭和12年は電機5社程度、繊維、電燈電力、鉄道が多い そこで、昭和12年に掲載されているのは300社、36業種である。電機という分類はまだ無く、機械工作という分類の中、31社中、日立製作所、東京電気、芝浦製作所(まだ、東芝に合併されていない)、富士電機製造くらいであり、機械は多いがあとは、珍しいもので日本楽器くらいである。NECも松下もまだ上場していない。 業種分類で面白いのは、当時は繊維が主力であったので、繊維織布、人絹、絹紡、羊毛、麻糸紡織と細かく分類され、社数も多い。また電燈・電力が33社、鉄道軌道が32社、と多い。セメントも13社、珍しいものは護謨栽培などがある。満州やスマトラ、朝鮮などを社名に冠する企業も多い。また、金融は銀行も証券も見当たらない。 昭和14年の日立製作所を見ると、会長が鮎川義介、社長が小平浪平、他役員10、監査役2、自己資本比率も高く、利益率も二桁、モーターや車両などが主力で、あまり今と変わらない。他方、昭和14年の合併後の東芝は、今と異なり自己資本比率は高く、社長は山口喜三郎、役員には18人中、3人も外国人がいる。ただ、当時も相談役、顧問などがいる。数字で、日立と東芝を比べると、総資本では、日立が2倍、収入では日立が3倍、利益では4倍の規模があり、既に日立が大きい。
25日 9月 2015
 日経報道によるとシャープの上期業績は、スマホ向け液晶等の低迷で、従来の100億円の営業黒字から300億円の赤字に転落する模様。400億円以上の下方修正となる。 1Q決算のコメントで下記のように、2Qも赤字継続で1Q以上の可能性、在庫ロスだけで300億円、FCFの3月末比で500億円悪化が実体であり、2Qは500億円以上、1000億円の下ブレの可能性もあると述べており、この報道には違和感はない。 http://www.circle-cross.com/2015/08/02/2015年7月31日-シャープ-ようやく液晶の現実を認識-だが時間の猶予はない/ 以下、斜線「」が、コメントの引用である。「スマホに関しては、それほど市況の見方に関して大きな違いはないが、自らが在庫処分に近い販売で、値下げを加速しているという自覚がないようだ。また、TVに関しては、需要は強いと見ており、違和感がある。さらに、PCやIAに期待しているが、足元はタブレット中心に前年比10%減で推移しており危うい。これに加え、2Qはインセル立ち上げコストや、価格低下がこのまま続けば、在庫評価損も出てこよう。少なくとも5月頃より既に20%は下落しているので、1500億円のパネル在庫なら、300億円のロスが出る計算となる。こうした状況を踏まえれば、2Qも赤字が継続、TV向けも実態は赤字の可能性もあり、在庫評価減も反映すれば、1Q以上の赤字もあり得よう。 想定通りとされた1Q決算だが、FCFは700億円の赤字であり、3月末比で500億円悪化している。これが実態である。(中略)そもそも、中計では、FCFによる管理をするといいながら、1Qの計画数字もなく、上期末の目標もなかった。年度末はFCFの数字には触れず、B/Sのみの説明であった。説明資料にもB/Sは記載はあるが、FCFには一切ない。これが問題だろう。2Q以降は景気悪化、需要減速、価格低下との競争である。キャッシュコスト割れも時間の問題だろう。遅いと、提携交渉も厳しくなり、在庫もどんどん膨らむ。慎重に考えれば、2Qは500億円以上、1000億円級の下ブレの可能性もある。」  液晶市況の悪い状況は変わっておらず、むしろキャッシュコスト割れが近づいており、工場の稼働を止める決断が求められる。ただ、その場合も、液晶中心に業績は悪化、年間で500~1000億円の営業赤字となり、リストラ費用を併せれば最終赤字は2000億円規模の可能性すらあり、再び財務リスクが浮上、液晶分社化や提携が急がれよう。
24日 9月 2015
やや時間がたったが9月17日の午前に定例のディスコのプレビューがあった。9時半からHPで一斉の音声説明、11時から質疑のみのテレコン。テレコン参加者は数名。...
24日 9月 2015
社長とは何だろうか?かつては、会社の中で一番偉い人であり、最高責任者であり、最高の決断者であった。小さな会社では、目の前の事業に対して、いわば最前線の指揮官のようであり、プレーイングマネージャ的な要素も大きい。会社が大きくなるにつれて、事業ポートフォリオ判断、内部調整や、更には象徴的な司祭的な役割が増えてくる。それが、会長職の位置ずけ、CEOなのかCOOなのかでも、変わってくる。 社長の再定義 特に、昨今の委員会設置会社かどうか、あるいは執行と監督が分離されている度合いによって、その定義や役割は大きく変わるはずだ。かつては社長の大きな仕事の一つには、後継者の育成と選出があったが、指名委員会制度ができると、もはや社長だけの仕事ではない。そういう意味では、社長の定義は、この10年で大きく変わってきたし、今後は更に大きく変わるだろう。 また、各社で、工場長の意味が異なるように、社長の意味が異なる。その中で、社長の再定義が必要となってきているように思う。 前に、東芝不正会計問題に関連してCFOの在り方、定義について考察したが、よく考えると、それ以上だ。http://www.circle-cross.com/2015/07/26/2015年7月26日-ガバナンス形態やcfo経歴と不祥事の関係/ 社長の定義は一様ではない しかし、こういう変化あるいは、会社毎、さらには、経営者自身の個性や自己認識の差に対して、世間や社員、マスコミ、学者、当局等、それぞれ、定義を確認せずに、いろいろ議論しており、それが混乱の元にもなっているように思う。 そもそも、これまでも多くの混乱には、引き継ぎの際に、役割あるいは定義が十分に説明されず、暗黙の了解のつもりが、実際はかなりズレがあったり、時代背景が変わる中で、意思疎通が不十分だった場合も多いように思う。 また、これまでのやり方で十分にうまく機能している電子部品など事業ドメインが狭い業種に、十把一絡げに扱い当てはめる風潮もどうかとは思う。 まだ研究は少ないが社長の個性の話ゆえ難しい 経営者かくあるべし、とか、リーダーシップについての研究や書物は多いが、最近の変化の中で、こうした点について論じたものはまだ少ないように思う。これは、そもそも、個別的であり、社長そのものの個人の評価にもなるので、研究対象とはしにくいのだろう。ただ、幸い、学者と異なり、アナリストゆえに、説明会では頻繁に社長のプレゼンを聞き質問もできる。スモールや、個別取材などの機会もあり、分析の素材はある。 自身の反省 また、自身が前職で10数人のファンドの社長も経験し、その苦労もあるが、よく、その役割について社員や周囲と共通認識が無かったことが混乱の要因でもあった。ファンドの社長はいわば、芸能人が芸能プロデューサをやっている、あるいは開業医が病院を経営している、プロ野球ならエース堅監督みたいなものだ。ファンマネ兼任の社長はファンドや会社の戦略を考えつつ、運用者が最適な環境を整え、社員はそのスタッフ、だと思っていた。しかし、社員は、普通の会社のように、社長は経営や評価、対外の代表だと思っていたのである。社長以前にも、数十人規模の調査部長も経験したが、これまた、会社によって、調査部長の役割が全く異なる、あるいは調査部長そのものの個性や経歴で役割が変わってくることも多かった。これは、社長でも同様で、本来は歴代、調整型であったのに、時代の激変と社長の個性で資本家型になったりする。 社長のタイプを6つに分ける 業界でも異なる
23日 9月 2015
日経新聞の9月21日報道によれば、ホンハイがシャープに対して液晶事業買収提案をしたようだ。分社化する液晶事業会社の株の過半数を取得、アップルにも出資を求め、シャープと併せ3社で運営するとのこと。...
23日 9月 2015
総合電機の経営重心及び事業ドメイン広さを見直した。ようやく東芝の2014年度決算も出て、横比較できるようになったからである。2015年については、2014年度の実績と2015年度の予測から均して計算している。また、今回、日立については、新しいセグメントに即し、重要性が高まったオートモーティブや、建機を、セグメントに加え(従来は他に入れていた)、2005年、2010年についても見直している。他社も同様に見直したが、そこは大きな変動はない。セグメント開示がより実態に即すると、経営重心による分析精度が向上し、より各社の実態が明瞭に比較できるようになる。  日立やNECの経営重心の変化とドメイン広さの縮小がより明瞭となり、東芝のドメイン広さの拡大と対照的である。三菱電機が前回同様に回帰志向、富士通は激変前夜か。2015年のデータを入れることで、経営重心の分析の有効性がより明かになった。

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